二十二話 【ランク上げたいんですけど】1
異世界に来て約半年が過ぎた。
受験勉強も順調に進み、帝都での生活にも慣れ、道にも迷わなくなった。
半年も過ごせば大体の地理は分かってくる。
セバスチャンと話した倉庫の場所、学院の位置、ギルド、安いお店、etc・・・
最初は迷って騙されたりスられたりしたが、おかげで治安の良い場所悪い場所が分かるようになった。
屋敷は治安の良い場所にあるようだ。
まあ、あまり自慢のできない覚え方だな。
そしてこの半年での一番の成果。
それは魔法に科学概念を取り入れた事だ。
ーーーーーー
学院へ入学するにあたって、今まで訓練を積み重ねてきたが、ギルドカードのランクが高いと実技が有利になると聞き、ランク上げが難しい帝都を出て、別の場所でランクを上げる事にした。
場所を移してクリーク村。
空の真ん中に太陽が昇る頃、俺は冒険者ギルドへ来ていた。
「こんにちは!今日はどのようなご用件で?」
「ども、ランク上げたいんだけど、何かいい依頼はないかな?」
恐らく聞き飽きたセリフなのだろう。
受付嬢が一瞬ため息をついたように見えたがすぐ笑顔に戻す。
「でしたら、今、魔物討伐の依頼があるのですが・・・」
「じゃあそれで」
「かしこまりました。ところで、冒険者ランクはいくつですか?」
「Fです」
「・・・その、言いづらいですが、辞めたほうが良いですよ?」
「どうして?」
「この討伐はCランク対象となっています。Fランクで受けれるようなものでは無いかと」
心配そうな表情で受付嬢は言った。
「大丈夫だ、問題ない」
「そう言う方を沢山見て来ましたが、全員大怪我を負ってますよ?」
「大丈夫、大丈夫」
そんなやりとりをしていたら、柄の大きい男が横から割り込んで来た。
「ガキがっ、さては第4地区の奴だな?」
貴族の街か、思い出したくもない!
「あんな奴らと一緒にしないで貰いたいね」
「ほう?ちっとは話の通じるやつか」
エスカレートする前に受付嬢が止めに入る。
「バジルさん!バジルさん!ギルド内ですよ!?辞めて下さい!」
この男はバジルという名か。
「低ランクが高ランク依頼受けようとするからだ!しかもあれだぞ!?Cランク級の討伐依頼だぞ!?」
「・・・しかし!」
「パーティー組んで来るならともかく、1人でしかも軽鎧で薄っぺらい剣で挑む無謀なアホは力づくでも止めるべきだ!」
「そうですけどそうじゃないです!」
「じゃあなんだよ?」
「もう!決着つけるなら、せめてギルドの外でやって下さい!ふんっ」
受付嬢はそう言うとスタスタと奥へ行ってしまった。
「そうだな!外で勝負だ!アホ!」
「誰がアホじゃい!」
「俺様に勝ったらCランクにしてやる」
こいつそんな権利持ってるのか?
ただ俺をボコりたいだけでは無い様だ。
そう思ってると周りからいろんな声を掛けられる。
(おい、本当にやるきか!小僧、無謀すぎるぞ!)
(そうだ!そうだ!)
(クリーク村のギルドマスターに敵いっこ無い!)
ギルドマスター、ここの所長か。
なるほど・・・
見物人を含め、俺たちはギルドの裏の訓練場へ来た。
的や障害物、訓練に必要なものがそこにはあった。
そして何も無いあけた場所、見物人に囲まれた状態で俺とバジルは立ってた。
「お前が勝ったらCランク、いや、Bランクにしてやろう」
周りから「おぉー」と声が上がる。
「だが、もし俺が勝ったら、そうだな・・・酒樽を10樽ほど奢ってもらおう!それとクリーク村の冒険者ギルドへの出入り禁止だ!」
「受けて立とう」
「ふんっ、吠え面をかくなよ!」
周囲はこれがいつも行われているかの様な反応だった。
一部ではどちらが勝つか既に賭けを始めている。そのくせして誰も俺に賭けてくれない。
「おい!兄ちゃん!あんたに賭けた!絶対に勝って俺を裕福にしてくれ!」
喜ぶべきか呆れるべきか・・・
まあ、少し嬉しいかな。
あとはこいつを倒す策だ。
この前考えた個人魔法には驚くだろう。
ヘレンさんからも好評だった。
魔法と言うより技かな。
あと地球の武器をいくつか再現して護身用に持っているが、これを見て相手がどう来るか。
よし!科学と魔法の融合がどこまで通じるか、試してみようか!




