二十話 【初めての魔法】
「ショウ、あなた、魔力少なすぎ!?」
しばらく経っても魔法が使えず、ヘレンさんに俺の魔力を変な魔道具で測ってもらったら、そんな答えが返ってきた。
「これが光れば魔力が有るか無いかは分かるはずなんだけど・・・ほとんど光らないわね・・・」
「そうなんですか?」
驚きだ。
全く光らないと思ったのに・・・
どうやらこの世界で生活している間に少しだけ魔力が入ったようだ。
「そうよ!最初会った時、魔力枯渇か気配を隠すために魔力を抑えていたと思ってたのよ?」
魔力枯渇ねぇ・・・
気配を隠すこと出来るんだ。
そう言えば本に書いてあったな。
魔力を抑える事によって、ある程度(魔力を放つ分)気配を消すことができる。
ただし、開けた場所や、見られてる状態では効果が無い。
創造魔法の【魔力探知】これもよく使われる魔法だが、魔物が近づいたり、魔法を発動すると、気配として感じ取ることができる。
魔力を抑えると、ある程度は気配を消せると言うことだ。
「仕方ないからちょっと待ってて」
そう言うと、ヘレンさんは屋敷へ戻り、何かを持ってきた。
魔力石だ。
初日の訓練の時は一度使った後、急に怠くなったんだ。
「魔力石ですね?」
「そうよ、使い方は分かるわね?」
「ええ」
魔力石は身につければ使える。
あとは普通に魔法を発動するだけだ。
あの時は使えなかったけど、教わった通りにやれば・・・
「じゃあ、まずはこれね!」
最初に始めたのは火魔法だ。
ヘレンさんが得意なのと、生活用と攻撃用として一番ポピュラーな魔法だ。
「本当は詠唱から教えた方が良いんだろうけど、戦う時に詠唱してる暇なんて無いからね、無詠唱でやろう!」
確かに、詠唱中の時間が勿体無い。
第一、そんな痛々しい詠唱をしたく無い。
詠唱をする自分を想像したら寒気がしてきた。
「それじゃあ、火をイメージしてみて」
「はい!」
ロウソクくらいの火をイメージして力っぽい何かを流す。
すると、身につけてる魔力石から自然と魔力が流れてくる。
最初は何も起こらなかったが、何度か練習するとできるようになった。
「出来ました!」
ポッと音を立てて手のひらの上に小さな火が浮かぶ。
こんなにあっさりできるとは、
俺とヘレンさんの2週間を返せ・・・
「おおっやったね!ショウ!」
「ええ!」
しかし不思議な感覚だ。
体内で何か流れるような感じがする。
これが魔力か?
「じゃあ次!」
するとヘレンさんが難しい表情で両手を前に出し、数秒でボォッと火柱が出来上がる。
それを維持するのも大変なようで、10秒もしないうちに消えてしまう。
「ふう、結構使うわね、魔力」
流す魔力の量で、魔法の大きさも変わるらしい。
俺も同じ事をやってみようとしたが、火が大きくなり出したところで消えてしまった。
「まあ、仕方ないわ。大きな魔法ほど、大量の魔力を使うから制御も難しいの」
そうか。
でも・・・
これは面白い!
魔力石が無いと魔法は使えないが、コツを覚えれば後は簡単だ。
イメージをして魔力を流せば現象が起こる。
その現象を理解していなければ失敗するが、シンプルな魔法はその必要が無いみたいだ。
次に教わった風魔法は簡単だった。
始めは手から魔力を放出して風を起こすようなイメージだったが、今はそんなことしなくても簡単に風を起こす事ができる。
使う魔力もそんなに多く無い。
火と風を合わせたらどうだろうか?
火を出して維持する。
そこに下から風を吹かせる。
火は少しだけ大きくなり、途中で消えてしまった。
「それで強くするのは無理よ、私も、私の先生も失敗してるから」
先生?誰だろう。
でもさっきのはいい線行ってるはずだ。
理論的に、酸化反応が起きてるところに酸素、つまり空気が流れれば火は大きくなるはずだ。
あれ?
火魔法で起こした火ってどうやって燃えてるんだ?
酸化反応が起きてるわけでは無いはずだ。
燃えているものが無いのだから。
魔力か?
だとしたら魔力は物質という事になる。
分からん!
「ショウ、どうしたの?」
「いえ、何でも無いです」
まああとで考えればいいか。
学院とかで・・・
「じゃあ続けるわよ!」
次に習得したのはファイヤーボール。
火の玉を飛ばす魔法だ。
攻撃用として使える。
「いい?ショウ、これはねーー」
と説明を受け、実際にやってみる。
火魔法で火の玉を作ったと同時に発射する。
火の弾はボォォッと20mくらい先の地面に落ちて消えてしまった。
「覚えるの早いわね」
「面白いですから、それに、2週間くらい魔法について教えてもらいましたからねー」
この日は5つの魔法(火、水、風、土、創造)を少しやって終わった。




