↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転移先で困って現代技術を再現した件  作者: 空白
第一章 ロア帝国編
23/77

十七話 【屋敷】2



「ロジャーさん」

「なんだ?」

「この前、時計があるって話したじゃないですか」

「話したな。見たいか?」

「はい」


異世界の時計か。

どんな感じなのかさっぱり想像できない。

機械式か?

それとも砂時計や日時計みたいな物なのか?


ロジャーさんに一階の大広間へ案内される。


だだっ広い部屋の壁に、おじいさんの・・・じゃ無い。

普通の古時計があった。

カチッカチッと音を鳴らしている。


「あれ?」

「どうした?」


確かに見た目は普通の古時計なのだが、書いてある数字が1から10までしか無い。

順番は一番上が1で、時計回りに2、3、4と続いている。

針も、重なってるだけかと思ったが、それは一つだけで、今は3を指している。


これ、どう見ればいいんだ?


「自分が知ってる時計とちょっと違うなぁ。と思っただけです」

「そうなのか?」


ん、てことは、スマホの時計が信用できないかも・・・

まあ、1目盛が1時間とも限らないから、部屋に戻ったら確かめてみよう。


「中ってどうなってるんですか?」

「いろんな大きさの歯車が入っているんだ。運ぶ時に『慎重に!』って親父によく言われたよ」

「へぇ。ちなみに、どうやって歯車を回してるんですか?」


動かすには、何か動力源があるはずだ。


「確か、重りをぶら下げていたな」

「重りですか」

「なあ、ショウ」

「はい」

「お前の作るジドウシャは、この時計のように重りで進むのか?」

「かなり無理がありますね」

「違ったか」


そう言えば、説明中に質問が来るからエンジンについては話してなかったな。


「動く仕組みは設計図を書きながら教えます」

「分かった」


口で説明するよりも、図を見せながらの方が分かりやすい。


しかし、この世界に時計があったとはな・・・

時計のような精密な機械が作れるなら、エンジンを作る技術もあるだろう。たぶん・・・

型を作って金属を流し、綺麗に削ることができればいい。



ーーーーーー



数日が経過した。

スマホの時計に違和感は無かった。

そして、ネットの無い環境は非常に暇だ。

つい最近、暇過ぎてロジャーバッテリーの構造を変えて電圧と寿命を延ばした所だ。

セバスチャンに用意してもらった紙を何枚も台無しにしながら一日を過ごす。

字を消すための物はあったが、渡されたのが捏ねたパン生地で全く使う気になれなかった。

時にはロジャーさんやヘレンさんに文字を教えてもらう。

短い文章なら読めるようになった。


ある日、長い文章を求めて図書室へ行くと、不敵な笑みで本を読んでいる老婆の横顔が見えた。

なんか嫌な感じがしたのでそのまま図書室を出たが、セバスチャンに聞いたら「その方はジェナ様です。デフロット様の奥様で、恋愛物語がお好きのようです」と言われた。


なるほど、あの時の笑みはそういう事だったのか・・・


「オッホン」


おっと。

顔に出てた・・・


さて、今俺は、グレイプス家所有の倉庫にいる。

外見通り中も広く、藁や農具、家具などが置いてあった。

なぜここに来たかと言うと、自動車を作るための場所を探していたからだ。

広い外で作っても良かったが、天気が悪い日は作業ができない上、雨で濡れると木は腐り鉄は錆びる。


「ここでよろしいですか?」

「うん、ここでいい」

「分かりました」


他にも場所はあったが、豪華すぎて逆に気を使ったり、血痕がある道具が放置されてたり、とにかく良い物件がこれだけだった。


「新しく作りますか?」

「いや、作らない」


それも考えたが、時間がかかるし、今はそこまで必要無い。

大量生産するなら話は別だ・・・


あ、一つだけ作らなければいけないものがある。


「テストコース」

「はい?」

「テストコースを作って欲しい」

「テストコース・・・ですか?」

「自動車の走り具合をテストするためのコースだ」

「ジドウシャ?」


ああ・・・


「えーと、馬車の走り具合、凸凹道とかで乗り心地をテストするんだ」

「品質を確かめるためのコースですね?」

「まあそう言う事だ」


車について何度も説明するのは流石に面倒なので飛ばしたが、馬車でも通じた様だ。


「分かりました。この件はショウ様の方がお詳しい様なので、また後で伺います」

「うん」

「土地はどれくらい使いますか?」


考えた事ないな。

テストコースってどれくらい必要なんだ?

ガタガタ道や濡れた道、泥道、舗装された道、色々ある。


「んー、調べないと分からないけど、かなり広いと思う」


あ、調べる手段がない・・・


「では、これも保留という事でよろしいですか?」

「あ、うん」


分からない事だらけだな・・・


「ところで、使って良い土地ってどれくらいあるんだ?」

「そうですね、土地は別の場所にもあるので、屋敷に戻ったら地図で確認しましょう」


結構持ってるらしい・・・


「戻りましょう」

「そうだね」


屋敷へ戻り、地図を見せてもらう。


「グレイプス家の所有している土地は、ここと、ここと、ここと、ここです。あとそこ」

「結構あるね」

「そうでしょうか?」


土地代とかどうなってるんだろう・・・


「ショウ様が欲しい土地があれば買うことはできますが」


えっ買ってくれるの!?


「グレイプス家もそこまでする義理はないのでご自分で購入して下さい」


これでも十分贅沢させてもらってると思うが・・・


「あ、はい、自分で買います」


お金を稼ぐ。

これが新たな課題だな。


「あ、セバスチャン」

「はい、何でしょうか?」

「俺に合う仕事ってないか?」

「そうですね・・・」


職場体験とか無いんかな。

この世界にあって欲しいシステムだな・・・


「ショウ様は何ができますか?」

「そう言われてもな・・・」


アバウトすぎて答えられないぞ?


「例えば?」

「例えば、治療することができたり、魔法が使えたり、暗殺ができたり色々あります」

「今変なの入ってたぞ」

「それも立派な仕事です」


やっぱこの世界怖いな。

後で身を守るための物でも考えるか。


「でしたら、冒険者でも良いんですよ?」

「あっ」


そう言えば俺冒険者だな。


「冒険者って何するんですか?」

「ショウ様、ギルドで説明受けなかったのですか?」

「んー・・・」


よーく思い出す。

あれは今から十数日前・・・

確かお姉さんが・・・




「これがギルドカードです。ここに名前と、職業の欄に冒険者と書かれてまーす!これは冒険者のランクですね!今はFだけど、依頼を受けたり魔物討伐をすると、ランクが上がるよ!また、その時の成果に応じて報奨金が出るよ!カードを失くすと、再発行にお金が掛かるからね!料金はギルドによって違うから注意してね!」




何か違う様な気もするが、確かこんな感じだ。

あの子まだいるのかな・・・


「思い出した様な表情ですね」

「あ、うん」

「できそうですか?」

「んー、魔物討伐とかやりたいな」


ゲームみたいに戦うのかな?


「ショウ様は戦闘の経験は?」

「無いですね」


前の世界で魔物との戦闘なんて経験できるわけが無い。

あ、小さい頃、ママという化け物なら出てきたな。

あれは戦わずに逃げた。

パパというヒーローのおかげで助かったが・・・


「それでは今度、戦闘訓練をしましょう」

「・・・」

「格闘場もグレイプス家の敷地内ですので遠くまで歩いたりはしませんよ?」

「・・・」

「庭でやっても良いんですよ?」


そうじゃない・・・


「すごくやりたそうだね」

「ショウ様が魔物討伐をやりたいとおっしゃるので」


ああ・・・


「訓練は無しだ。仕事は自分で探してみる」

「分かりました」


お金があれば、土地が買える。

土地があれば、テストコースが作れる。

テストコース以前に車だな・・・

でも、グレイプス家に恩返しするのも忘れてはいけない。

なんか知らんが優遇されてるからな。

何で返そうか?


お金。


よし、困った時はお金だ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。