↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転移先で困って現代技術を再現した件  作者: 空白
第一章 ロア帝国編
21/77

十六話 【賢者?】



「セバスチャン、これは執事長であるお前に任せる。儂は書斎から監視している。いいな?」

「はい、かしこまりました。デフロット様」


たった今、我が主より重要な仕事を任された。


数日前にヘレンお嬢様から「ショウと言う名の賢者が来るかもしれない」との連絡があった。


これはグレイプス家の紋章が付いた緊急速達用の赤い封筒に入れられ送られてきた。


勿論これにはほとんどの者が疑った。

しかし、商業ギルドと特別契約された緊急速達便を使っていたのでただ事では無いのは確かだ。


緊急速達便はかなりの値段がする。

一通につき、金貨1枚。

普通の手紙なら、時間は掛かるが銅貨1〜5枚で済む。

宿で一泊するぐらいの値段だ。

それが金貨1枚だ。

金貨1枚あれば、何が出来るだろうか?

安い宿で1000泊、手紙が最大1000通送れる。


そんなに要らないな。


はっ、私は何を考えているんだ!

今の問題はそれでは無い。

手紙にあったショウと言う名前の人物だ。


ヘレンお嬢様は手紙に賢者と書いていたが、本当にそうだろうか?


賢者など本でしか見た事ない。


まさか騙されている?

グレイプス家の者が?


無いな・・・


だとしたらショウと言う人物は一体・・・?


「ヘレン様が戻られました!」


おっと、急がねば。


ロビーへ行き、部下の執事達と並び、準備ができたところで2人の部下が玄関の扉を同時に開く。


「「「「お帰りなさいませ!」」」」


ヘレンお嬢様にロジャー坊、そして噂の賢者、ショウ、様か・・・


ものすごく今頃だが、「お帰りなさいませ」って初めて来た方には不適切だな。

ヘレンお嬢様に伝わればそれで良いか!


そう思いながら側へ行き荷物を預かる。

隣にいるメイド、メアリーがショウ、様に話しかける。


「ショウ様、こちらへどうぞ」

「はっはい!」


緊張している。こういうのは初めてなのか?


「ふふっ」

「お部屋にご案内します」


部屋に案内する途中、ショウ様がメアリーをジロジロ見始めた。


「オッホン」

「・・・」


あっ、目を逸らした・・・


「こちらがショウ様のお部屋です」

「は、はい」


扉を開ける。


メアリーがショウ様に簡単な説明をし、この屋敷には数部屋ある使用人用の休憩室へ入る。


「メアリー」

「はい」

「彼を賢者だと思うか?」

「いいえ」


即答だな・・・


「理由を聞いても良いか?」

「もう聞いてるじゃないですか」

「すまない」

「良いですよ、執事長」

「ありがとう」

「賢者なんてお伽話でしか聞いたことありませんもの。信じられません」

「そうだよな」

「とおっしゃるという事は、執事長も信じていないんですか?」

「賢者なんて信じられるか?」

「無理ですね〜、デフロット様を驚かす事が出来れば信じるかもしれません」


デフロット様が驚く姿は見てみたいが、それは不可能だろう。

あらゆる分野に手を出して、この国の総合学院を設立した人を驚かすのは相当難しい。

魔法で驚かそうったって、新しい魔法を作り出すしかないのだ。


「あのデフロット様を、か」

「はい、それが出来れば私は信じます」

「ショウ様にできると思うか?」

「そんなの分かりませんよ」

「はは、そうだな」


確かに、こればかりは分からない。

現時点でショウ様が賢者かどうかは保留だな。


「あ、執事長」

「ん?」

「ヘレン様がご飯がまだだって言ってましたよ」

「!?、用意しに行ってくる」

「執事長、ショウ様担当でしたよね?」


はっ!


「そうだった、ショウ様の食事を用意してくる」


厨房へ行き、料理の乗ったワゴンをもらう。

ショウ様の部屋まで行き、ドアをノックする。


「はい」

「セバスチャンです」

「御食事をお持ちしました」


ノブが回されガチャリとドアが開く。


「ど、ども」

「まだ、済まされていないとの事でしたので、ご用意しました」


ワゴンを押し、部屋に入る。


「あ、ありがとうございます」


礼儀正しい賢者だな。


「お風呂はいかがなさいますか?」

「入ります」

「かしこまりました。しばらくしたらお呼びします」

「ありがとうございます」


こうも客人にお礼をされるとはな・・・


「あと、ショウ様は賢者様とお伺いしております。敬語などのお気遣いは必要ございません」


ん、なんか驚いてる?


「賢者じゃ無いです」


賢者じゃない?

手紙には賢者だと・・・

今考えるのはやめよう。

仕事に支障が出る。


「そうですか。では何かお困りでしたらお呼びください」


料理をパッパと並べる。


「それではごゆっくり」


ショウ様の部屋から出て浴室へ向かう。


ふう・・・

さっき何て言った?

「賢者じゃ無い」と言ってたよな?

いや確かに怪しいとは思っていたが、まさか本人から「違います」って言われるなんて思わなかった。

じゃあ、あの手紙は?

お嬢様を騙してる様な感じはしなかったし、もしそうなら「賢者じゃ無い」と言う必要もない。

ん、待てよ?

ジェナ様がいらっしゃった。

彼女は余所者が嫌いだ。

仕事などで関係のあるロジャー坊や、数日泊まる客人、使用人ならともかく、ショウ様の様に結婚する訳でもなく、長期滞在する、いわゆる別の意味での新しい家族みたいな関係になる場合は猛反発する。

ショウ様の場合は身元が分からない。

そんな人を家族の様に扱う?

どこかのドの付く偉い貴族や議員、資金源となる金持ちならどうにかできる。

そうか!

それで賢者という事にしたのか!

賢者なら間違いなく入れてもらえる。

そう、最初は入れてもらえる。

だが、本やお伽話にしか出て来ない賢者だ。

バレた時は、大変だろうな・・・

さて、賢者様はどの様にこの問題を解決なさるのでしょう?

まあ、私は主に従うだけだ。

追い出せと言われたら兵を使って追い出す。

殺せと言われたら、裁判で火炙りの刑。

毒殺もやる。

ショウ様が本当に賢者ならば心配のない事か・・・


浴室へ行き、いつでも使える様に準備をする。

鏡にウロコ汚れが無いか?

火魔法でちゃんとお湯になっているか?

タオルは畳まれてるか?

目に入らないとこまでチェックする。


浴室は大丈夫だな。

呼びに行くか。


ショウ様の部屋まで行き、コンコンとノックする。


「はい」

「セバスチャンです」

「どうぞ」

「浴室へご案内します。着替えは準備しておりますのでご心配なく」

「あ、ありがとうございます」

「ですから、お気遣いは必要ありません」

「わ、分かった」


賢者様なんだろう?

もっと堂々とすれば良いのに。

あ、そういう設定か!


「それではこちらへ」


浴室へ案内した後、帰りも案内として付いて行くと言ったら、「部屋の場所覚えてるから大丈夫」と断られた。

これでは監視、ゴホゴホ、お世話ができないが、断られては仕方ない。

後はデフロット様の監視魔法に頼るしか無いな。


『デフロット様、よろしくお願いします』

『ご苦労セバスチャン、今日はもう休んで良いぞ』

『ありがとうございます』


脳内で響く声、これはデフロット様が作った伝言魔法だ。

イメージした特定の人物に言葉を伝えることが出来る素晴らしい魔法だが、問題もある。

兄弟が居たり、イメージした人物と考えてる事が一緒だったり思考が似ている人が居たら誤送してしまう。

例えば学校なら、解き方が分からない生徒に答えを教えようと送ったとしよう。

答えが分からない生徒全員に送ってしまうのだ。

また、魔方陣の内側しか効果がない。

魔力の消費量が多い。

魔方陣無しだと効果範囲が半径5歩分という問題がある。

それを直す研究を続けているデフロット様は流石だ・・・


監視は我が主に任せて自分の部屋に戻る。




しかし、なぜヘレンお嬢様はショウ様を賢者と偽ってまでここへ?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。