十話 【ヘレンさんスられる】1
「は〜い、いらっしゃい!」
「安いぞ安いぞ〜!」
「にいちゃん、これ買って行きなよ」
宿屋へ向かう途中、クリーク村の様な大通りにある店々から声を掛けられる。
正直言うと、めちゃくちゃ興味ある。
剣や鎧、アクセサリーなど、クリーク村には無かった物が沢山あるんだもん・・・
それに、村では見なかったが、ここではローブを着た人達もいて、店を出してる。
たぶん魔法使いかな?
本や、魔法陣の書かれた紙、儀式に使いそうな変な道具とかが置いてあり、とても面白い。
「なんだ、興味あるのか?」
!?
ロジャーさん、急に話しかけてくるからびっくりしたじゃないですか・・・
「ええ、見るの初めてですし・・・」
「え!?初めてなの!?」
ヘレンさん、どうしてそんなに驚くんですか?
「ヘレン、何度も言うが、ショウは賢者でも魔術師でも神様でも無いんだぞ?」
うんうん、って最後の何!?
「そっかぁ・・・」
なんでそこですごく残念そうな表情するんですか!?
ーー ドンッ ーー
「あふっ!?」
「おい、気をつけろ!」
ん!?
「何よ!そっちこそ気をつけなさい!」
ヘレンさんが、さっき俺の横を通り過ぎた男とぶつかったみたいだ。
「大丈夫か?」
「大丈夫ですか?」
「ええ、私は平気よ」
それはよかった。
「!?」
ん?
「ロジャーさんどうしました?」
「さっきの男は!?」
「あっちよ」
「ヘレン、ショウここで待っててくれ」
「ええ」
「は、はい」
なんだなんだ?
考えてると、ロジャーさんがさっきぶつかった人を追いに行った。
追って何する気だ?
「どうしたんですか?」
「私、お金スられちゃった」
あー・・・
「よく分かりましたね」
「立ち上がった時に袋の重みを感じなくてね」
「なるほど・・・」
あれ?
じゃあなんでロジャーさんも気づいたんだ?
「ロジャーさんはどうして分かったんです?」
「私は平気よって言ったじゃない?」
「ああ!」
"私"は平気で、他がダメって事か。
「分かった?」
「ええ、分かりました」
さすが冒険者だ。
あ、ロジャーさんが戻って来た。
「ヘレン、これか?」
5つぐらい持って来よった・・・
「それ全部な訳ないでしょ!」
「見た目が同じなのにどれがお前のか分からねえから持って来たんだよ!」
「はいはい」
「・・・」
ロジャーさんドンマイ。
「えーと、これがそうね。残りはギルドに落し物として渡しておきましょう」
落し物コーナーとかあるのかな?
そう言えば、あの男どうなった?
「ところで、さっきの人は・・・?」
「ん?ああ、ぶっ飛ばした」
「そうですか」
ん?
ぶっ飛ばした!?
「え!?」
「驚く事ないだろう。スリだぞ?」
「そうよ、気にする必要ないわ」
「は、はい」
2人を怒らせることは極力しないようにしよう・・・
「ほら、宿行くわよ!」
そうだった。
スリのせいで忘れてた。
「ショウ、行くぞー」
「はい!」
待ってた時に下ろした荷物を背負い、2人に続く。
ぶっ飛ばされたスリは知らん!誰かがなんとかするだろう。




