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序の二

奇遇だった。

ちょうど、後宮に寄るつもりでいた。

(あれは、誰だ…?)

後宮の女官であれば、皆皇帝の寵愛(ちょうあい)を得たいのは一緒だろう。

そんな偏見ばかりいて、後宮嫌いになってしまった自分にとって、これはあまりにも偶然といえば、奇跡に近いような気がする。

話しかけてみたい。そう思ったのは、この小娘だけだ。


「皇后。あの娘は、いったい誰なんだ?」

「お気に召されまして?陛下」

「ああ、気に入ったよ。あの娘の名前は、なんと呼ぶ?」

「あら。相当、お気に召されたようね」


皇后とは政略結婚ながら、話しやすい。

いつもは妃たちの手本となっている皇后だが、今日はなんだか嬉しそう。


「陛下がお気に召された娘がいて、少しばかり安心いたしましたわ」

「そうか?」

「はい。だって今まで、後宮のどなたにもご興味がないようでいらしたので」


そう言われてみれば、そうだ。

後宮に行くことは愚か、女人にさえ、興味を示さなかったのだから。


「華 月鈴(か げつりん)という娘にございます。お声かけをされた方が、あの者は喜びますわ」

「どうだろう。世の中には、私の寵愛を得たくない変わった奴もいる。無理に話しかけて、呆れられた方が悲しくないか?」

「本気、なのですね?」

「絶対に捕まえる…」


なんてことで始まった恋が、まさか皇帝の運命を変える恋になるなんてことは、まだ誰も気づかないー

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