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来客

 




 太田時連ときつらは、ほんわかした顔をして「こんにちは」と言った。後ろには、伊賀兼光かねみつをはじめとする、今まで忠顕ただあきと闘茶勝負をした武家たちが続いた。


 次に、直衣なおし姿の凛々しい人物が入って来た。今出川いまでがわ兼季かねすえである。


「げえっ! う、右大臣……」と忠顕。

「弁天のような、琵琶の達人がいると聞いたのでな」と、忠顕に挨拶する。玉は静かに頭を下げた。


 それから、後伏見院と光厳こうごん上皇が入って来る。忠顕は「ひいっ」と叫び、慌てて座り直して頭を下げた。現在の天皇は大覚寺統の後醍醐天皇だが、その次の天皇は持明院統から選ばれる習わしである。忠顕は次の政権に移ってからの事も考えていた。


「おほう、玉や、玉が闘茶とは、驚いたぞ」


 後伏見院はニコニコして玉を見る。玉は微笑んで頭を下げた。光厳こうごん上皇は頬を染めている。


 庭の方にも次々に、彼らの従者や家臣、足利の兵、京の町の人々が入って来た。忠顕の若侍たちは、どんどん奥の方に追いやられて行き、隅の方で小さくなった。



「どんな取り決めでござるか」と高氏は言う。時連ときつらは、章有あきなりに書き記したものを見せてもらい、それを皆に聞こえるように読み上げた。


「現在、八番勝負が終わり、千種殿が百十万六千貫、勝っておる。この九番勝負の賭け金は一千万貫である」


 時連ときつらが言うと、場が「おおー」と、どよめいた。


「では、中原殿、発表をお願いいたします」


 章有は、忠顕をチラッと見る。大勢の見守る中、章有は意を決して言った。


「玉、栂尾。千種殿、宇治。勝者は…」






● 取り決め


 試合は十服茶、十番勝負とする。

 途中で辞める事は認めない。

 茶の種類は無制限、審判役が持ち寄った茶を出題する。

 一番毎に交互に順序を替え、茶の産地を短冊に記す。

 懸け物は一番毎に決め、引き分けの場合は、次の勝負に持ち越す。

 勝負前にその証文を審判に渡し、勝者がそれを受け取る。

 勝負は、誰もが観覧できる。

 審判は、丹波忠守ただもりか中原章有あきなりである。

(追加)

 まとめて別の椀に茶をたて、二つの茶碗に注ぎ分ける事。

 賭け金を一勝負ごとに十倍にする。

 賭け金を支払えない場合は、領地、財産、身体を全て差し出す。



( 文字数制限のため、「取り決め」を本文から、後書きに移動いたしました )



挿絵(By みてみん)







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