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鈍く光る廊下をウィングストンとその部下ケイが歩く。必要最低限の広さしかない廊下では、その靴音が重く響いていた。
もうすぐ作戦司令室というところで、ウィングストンがトイレを指差し言った。
「すまん、いざ作戦が始まるというとどうも緊張してな。」
ケイは呆れたように振り返ると、眉を顰めながら言った。
「もぉ、早くしてくださいよ。こんな時に。先行ってますよ」
ウィングストンは、作戦司令室へ向かおうとしたケイをもう一度呼び止めた。
「あぁ、ちょっと」
そのときウィングストンは、手にしたハンドガンでケイの顎を殴ると、ケイはそのまま意識を失い床に倒れた。
メガチャーチル起動まで残り10分
バスルーム・n番格納庫 メガ・チャーチル作戦司令室
全長25m、その巨体から格納庫内の電灯を持ってしても、影を落とす巨大兵器メガ・チャーチル。最終調整を全て終え、十数年と幾ばくかの時を経て、その眠りから醒めようとしている。
整備士長アストロノートの声が、作戦司令室へ広がる。
「ジョイント、アーティフィシャルマッスル、コアユニット、武装、時越暗礁、すべて完了しました」
アーチャーが答える。
「了解。アストロノート、この短期間でよくやり切った。チームのみんなもありがとう」
顔に笑みを装っているアーチャーであったが、その実は終焉へ歩みを進めるような、警戒心があった。これほど首尾よく進むはずがない。
人生の経験から、何かしらの困難に当たった時、必ず解決の前に、更なる問題へぶち当たる。アーチャーの勘が告げていた。こんなにうまくいくはずがないと。
その時、作戦司令室のドアが開かれた。ウィングストンだ。その首筋には、緊張のせいか汗が滲んでいる。
アーチャーは、デスクの引き出しへ手を伸ばしながら、緊張をほぐそうと話しかけた。
「ウィングストン、遅かったじゃないか。始まるぞ、準備するんだ」
ウィングストンは、少しばかりはにかむと、アーチャーの後ろを通り、席に着こうとした。
アーチャーの後方へ差し掛かる、その少し前に、アーチャーはウィングストンにもう一度話しかけた。
「ウィングストン、ケイはどうした。迎えに行かせたはずだが」
歩みを止めたウィングストンが答える。
「あぁ、ケイなら今トイレです。急に痛いとか言い出して」
アーチャーは、振り向かずにまた聞いた。
「ウィングストン、ここのカーペットは厚いんだよ。体が重ければ、それだけ沈み込む。何を聞いてるか、わかるか」
ウィングストンが答える。
「さ、さぁ」
アーチャーが返した。
「その中に着てる防弾装備はなんだ」




