↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イン・ザ・メガ・チャーチル  作者: ほかほか


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
5/7

#5

数刻前 チェコ共和国 プラハ




 戦火から少し離れて旧市街を歩く、革靴の音。元ExEU議長で現首相である、ヤン・ビズナマ・オソモストは、NATTOの緊急招集会議へ向かっていた。




 彼は、元議長の立場から、移動しながら今回の議題についてあれこれ考えていた。恐らく主題は、南アフリカ連合についてだろう。次いで、これから侵攻されるイギリスやフランスについての支援だ。




 南アフリカ連合の脅威というものは案外小さい。連合国が束になれば、数日経たずに制圧されるだろう。まずは、イギリスやフランスについてだ。




 彼らの一挙手一投足が、私たちの行末だ。仮に彼らが滅亡すれば、私たちも同じか似たような道を辿ることになるだろう。




 今回厄介なのはそこだ。南アフリカ連合による侵攻を私たちの危機と捉えるか、同じような足並みの他国を抜き去る機会と捉えるか。私はどう振る舞えば良いのだ。どう振る舞えば善いのだ。




 ドイツやイタリアは後者だろう。彼らは自走している。わざわざ、足並み揃える必要がないからな。国連との兼ね合いはどうだろう。いや、彼らも同じ、スポンサーか。




 では、我がチェコもそうする他ない。だが、それは何のためなのか。私の私腹を肥やすなど、上着のボタンを見れば、意味がないことがわかる。では、何のために。




 その直後、携帯へ緊急速報が届いた




 「マドリード陥落」




 数十分後 プラハ会議センター NATTO緊急会議




 国連との合同で行われたその会議では、南アフリカ連合に対する連合軍派遣についての議論が行われていた。




 ヤンは、イギリス代表、フランス代表の席が用意されていないことを確認した。それから、主催国である自分が、他国と同じ場所に座り、国連の首脳陣が、壇上へ並んでいることに違和感を覚えた。




 ヤンは、自分たちの判断が失敗であったとここで確信した。話は10年前へ遡る。




 10年前 京都 英国不信に於けるEU監査使節団導入会議




 プラハ会議センターにも似た会議室で、ASEAN+議長はその必要性を説いた。




「先進国である英国が、このような自己利益のため、ひいては軍事目的のためにこれだけの犠牲を払ったのです。我々は国境により、互いを引き裂かれている。しかし、平和という橋で結ばれているのです」




 ヤンにとっても、英国の暴走を見れば、監査導入に異論はなかった。そして、経済的にもアジアとのパイプができるのは悪い話ではない。だが、それは、自国が経済的に有利であることを前提としている点を、ヤンは見過ごしていた。




 10年後 チェコ プラハ会議センター 




 国連常任理事国の意見の対立により、会議は一度中断された。


 


  ヤンは、ドイツ首相が席を離れるのを確認すると、隣のフランツィスカ・ホーファー、オーストリア首相へ声をかけた。




「椅子が何だか少ないですな」


 


 フランツィスカ首相が答える。




「交戦中の国もありますからね」




ヤンは、少し顔を逸らすと、また声をかけた




 「英国も皮肉ですな」




 何気ない言葉であった。英国が自ら招いた軍縮。それが今は自身の首を絞めている。




  言い終わると同時にフランツィスカ首相が応じた。




 「本当です。メガ・チャーチルなど作るから利用されるのです」




 ヤンの耳には、それ以降の話が入らなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。