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[完結保証]規格外の最強皇子、自由に生きて無双する〜どこへ行っても、後世まで語られる偉業を残していく、常識外れの皇子〜  作者: 西園寺
晩餐会編

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第64話 帝国の余裕

次話は明日19時投稿予定です。

帝国の皇城、夕刻。


窓の外では帝都が赤く染まっていた。

石畳の街路には灯りがともり始め、人々の声が遠くに響いている。


窓辺に立っていたのは、皇太子アルトだった。


帝都を見下ろしながら、静かに考えている。


やがて背後で扉が開く音がした。


振り向かなくても分かる。


皇帝だった。


重い足音がゆっくりと近づく。


「各国の会談は終わったか」


短い問いだった。


アルトは振り返る。


「はい」


「予定通り、全ての国が参加しました」


皇帝は窓の外を見たまま言った。


「そうか」


低い声。


だが、その言葉には明確な意思があった。


一人、また一人と部屋へ入ってくる。


アルノー公爵。


ラインハルト公爵。


モンテリオ公爵。


そして最後に入ってきたのはデスト公爵だった。


帝国を支える四人の重臣。


四公爵である。


全員が席につくと、部屋の空気が変わった。


皇帝は机の上の地図へ視線を落とす。


「晩餐会の前に代表会談が開かれた」


「獣王が提案し、余が許可した」


「その意味は分かるな」


最初に口を開いたのはアルノー公爵だった。


帝国軍を束ねる男である。


「各国が互いの様子を見る場でしょう」


「帝国に対する不安を確認する場でもあります」


皇帝は何も言わない。


アルノーは続ける。


「しかし問題は別です」


「彼らが表で何を言うかではなく、裏で何を考えるか」


「そこを見極める必要があります」


次にラインハルト公爵が口を開く。


「商人はすでに動いております」


「特にブロドン共和国とタン王国」


「市場の反応を見ているのでしょう」


モンテリオ公爵が地図の上に指を置いた。


「だが現実は変わらない」


静かな声だった。


「帝国は大陸の中心にある」


「どの国とも陸で繋がっている」


「つまり軍も物流も、どこへでも届く」


モンテリオは続ける。


「短期的な対立は彼らにとって得策ではない」


「重要なのは帝国がどう見えるかです」


デスト公爵が小さく笑った。


「面白い話だ」


かつて魔王国の第三王子だった男。


今は帝国の公爵である。


「俺の領地が帝国になったのも、ある意味では“選択”だった」


「向こうに残る者もいれば、こちらを選ぶ者もいる」


デストは肩をすくめる。


「結局は現実だ」


「税、統治、海の管理」


「それが上手く回っていれば、誰も文句は言えない」


皇帝は四人の言葉を聞き終えた。


そしてアルトへ視線を向ける。


「皇太子としてアルトお前はどう見る」


アルトは机の上の地図を見る。


帝国を中心に、国々が並んでいた。


ブロドン共和国。


タン王国。


アジス獣王国。


エストル樹国。


シドル大公国。


アルトは静かに言った。


「帝国はすでに十分強い」


全員が彼を見る。


「だからこそ、無理に動く必要はありません」


アルトは続ける。


「我々が見せるべきなのは“力”ではなく“秩序”です」


「戦争で領土を奪うのではなく」


「統治で安定させる」


「それを各国に見せればいい」


アルノーが問う。


「つまり、選ばせるということか」


アルトは頷いた。


「はい」


「帝国に敵対しない方が合理的だと思わせればいい」


少しだけ間を置く。


そして言った。


「ただし」


「公然と敵対するならば、話は別です」


アルトの目は冷静だった。


「その時は、容赦はしません」


部屋は静かになった。


皇帝がゆっくりと笑う。


「よかろう」


「余も同じ考えだ」


そして皇帝は言った。


「だが政治は言葉だけではない」


「明日の晩餐会で何を見せるか」


「それが重要になる」


そこから会議は実務へ移った。



警備の確認。


各国使節団の動き。


皇城の配置。


晩餐会の席順。


全てを細かく詰めていく。


やがて会議の終わり。


皇帝が立ち上がる。


「明日」


「大陸の国々が同じ席につく」


皇帝は言った。


「帝国がどう見えるか」


「それは我ら次第だ」


四公爵と皇太子は静かに頷いた。


会議は終わった。


皇城の外では、帝都の灯りが広がっている。


そして今。


大陸の国々は、この帝都に集まっていた。


晩餐会まで――


あと一日。


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