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[完結保証]規格外の最強皇子、自由に生きて無双する〜どこへ行っても、後世まで語られる偉業を残していく、常識外れの皇子〜  作者: 西園寺
晩餐会編

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第59話 世界樹の巫女

次話は明日19時に投稿予定です。

晩餐会まで――五日。


帝都。


北の街道から、一つの使節団がゆっくりと進んでいた。


掲げられている旗。


深い緑の布。


中央には銀の巨大な樹の紋章。


エストル樹国。


帝都の門の前には兵士たちが並び、市民たちも遠くからその様子を見ていた。


だが――


やがて門の前に現れた一団を見た瞬間、空気が変わる。


長い耳。


整った顔立ち。


美しい銀髪や金髪。


人々の間にざわめきが広がった。


「……エルフだ」


小さな声が漏れる。


それも無理はない。


エルフは基本的に樹国から出ない。


外交で外の国へ現れることは、ほとんどないからだ。


だが今回。


その中心を歩くのは一人の少女だった。


白い巫女衣。


長い銀髪。


静かな瞳。


エストル樹国の巫女。


エリ。


樹国では、世界樹が選んだ巫女が王と同じ役目を持つ。


つまり――


彼女がエストル樹国の代表だった。


その時。


帝都側から騎士団が現れる。


先頭の男が馬を降りた。


帝国貴族。


カーマイン辺境伯。


今回、エストル樹国を担当する人物だった。


カーマイン辺境伯は歩み寄り、丁寧に礼をする。


「エストル樹国の巫女、エリ様」


「帝国へようこそ」


エリは静かに頷いた。


「お招きありがとうございます」


カーマイン辺境伯は続ける。


「皇帝陛下も到着をお待ちです」


少しだけ間を置く。


「そして――」


「皇太子アルト殿下も」


エリの瞳がわずかに動いた。


カーマイン辺境伯は言葉を続ける。


「殿下はエストル樹国と世界樹に興味をお持ちでして」


「もしよろしければ、お話をしたいと」


エリは小さく微笑んだ。


「そうですか」


静かな声だった。


「私も……少し興味があります」


やがて城門が開く。


エストル樹国の使節団は帝都へ入った。


街の人々は道の端からその姿を見る。


森の民。


そしてその中心にいる巫女。


帝都では滅多に見ることのない光景だった。


やがて一行は皇城へ到着する。


白い石で造られた巨大な城。


帝国皇城。


エリは静かに城を見上げた。


「……大きな城ですね」


カーマイン辺境伯が答える。


「帝国の中心ですから」


やがて案内された部屋の扉が開く。


中にいたのは――


皇帝。


そしてその横に立つ少年。


皇太子アルト。


エリは数歩進み、静かに頭を下げた。


「皇帝陛下」


皇帝は頷く。


「よく来た、エストル樹国の巫女」


エリは顔を上げる。


その時だった。


彼女の視線が、アルトへ向く。


ほんの一瞬。


エリの表情がわずかに変わった。


アルトは静かに言う。


「遠いところをありがとうございます」


落ち着いた声だった。


年齢には似合わないほど冷静な声。


エリはその姿を見つめる。


そして小さく言った。


「皇太子殿下」


アルトはわずかに首を傾ける。


エリは静かに続けた。


「あなたは……」


少し言葉を選ぶ。


「とても不思議な方ですね」


アルトは静かに言う。


「そうですか?」


エリは頷いた。


「ええ」


「とても」


短い沈黙が落ちる。


だが、その沈黙にはどこか意味があった。


皇帝が言う。


「晩餐会まではまだ時間がある」


「帝都でゆっくり過ごすといい」


エリは礼をする。


「ありがとうございます」


会談はそれで終わった。


部屋を出る。


カーマイン辺境伯が案内する。


エリは廊下を歩きながら、ふと立ち止まった。


そして小さく呟く。


「……世界樹が」


窓の外の空を見る。


静かに微笑んだ。


「なるほど」


「世界の王、というわけですね」


エリは再び歩き出す。


「確かに……興味深い方です」


帝都には今――


大陸の国々がすべて集まった。


晩餐会まで――


あと五日。


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