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[完結保証]規格外の最強皇子、自由に生きて無双する〜どこへ行っても、後世まで語られる偉業を残していく、常識外れの皇子〜  作者: 西園寺
婚約者選抜

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第128話 個別面談・エルシア

エリとの個別面談が終わった翌日。


皇城。


最後から二番目の個別面談。


呼ばれた候補者は――


エルシア・ラインハルト。


ラインハルト公爵家長女。


そして現在、


最も王妃に近いと評価されている少女だった。



案内された場所を見た瞬間。


エルシアは少しだけ驚いた。


そこは会議室ではない。


庭園でもない。


皇城中央塔。


帝国統治中枢。


皇帝と皇太子だけが自由に出入りできる区画の一つだった。


巨大な窓。


その先には帝都が広がっている。


数百万の民。


無数の建物。


街道。


河川。


工房。


市場。


兵舎。


そして遥か先まで続く帝国の大地。


エルシアは静かに呟いた。


「ここですか」


アルトは窓際に立っていた。


「はい」


短い返答だった。


だが。


それだけで十分だった。


エルシアは理解する。


今日の面談は特別だと。



二人は窓の前へ立つ。


しばらく沈黙が続いた。


やがて。


アルトが口を開く。


「何が見えますか」


エルシアは帝都を見下ろした。


少し考える。


そして答える。


「人です」


アルトは静かに聞く。


エルシアは続けた。


「市場の商人」


「工房の職人」


「兵士」


「貴族」


「平民」


「帝都に暮らす人々です」


アルトは頷いた。


「なるほど」


エルシアは少しだけ首を傾げる。


「正解ではありませんか?」


アルトは微笑んだ。


「正解はありません」


「そういう面談です」


エルシアも少しだけ笑った。



アルトは窓の外を見ながら言う。


「第二次選抜」


「連合裁定で」


「エルシア嬢は皆の意見をまとめました」


エルシアは静かに聞いている。


「なぜまとめようと思ったのですか」


アルトが尋ねる。


エルシアは少し考えた。


そして答える。


「全員正しかったからです」


アルトの目が少し細くなる。


エルシアは続けた。


「テジナ様は安全を見ていました」


「レティア様は流通を」


「セレナ様は制度を」


「エリ様は自然を」


「ミレーユ様は民を」


「ユリア様は維持を」


「リベナ様は国同士の不信を」


一拍。


「誰も間違っていませんでした」


アルトは静かに聞いている。


エルシアは続けた。


「だから選ぶのではなく」


「繋げるべきだと思いました」


風が吹く。


その答えに嘘はなかった。



しばらくして。


アルトは別の質問をした。


「エルシア嬢」


「はい」


「王妃とは何だと思いますか」


これまでで最も重い問いだった。


エルシアもそれを理解する。


数秒。


静かに考える。


そして答えた。


「皇帝の隣に立つ人です」


アルトは黙って聞く。


「ですが」


エルシアは続ける。


「ただ立つだけではありません」


「支えるだけでもありません」


「時には止める」


「時には導く」


「時には皇帝が見えていないものを見る」


静かな声だった。


だが迷いはない。


「皇帝一人では見られないものを見る」


「それが王妃だと思います」


アルトは何も言わなかった。


だが。


その答えを真剣に聞いていた。



やがて。


今度はエルシアが尋ねた。


「私からも一つ」


「構いません」


アルトは答える。


エルシアは真っ直ぐ見つめた。


「殿下は」


少しだけ間を置く。


「疲れませんか」


空気が静まる。


これまで誰も聞かなかった質問。


リベナも。


ミレーユも。


ユリアも。


レティアも。


セレナも。


テジナも。


エリも。


聞かなかった。


だが。


エルシアは聞いた。


アルトは少しだけ目を閉じる。


そして。


珍しく考えた。


長く。


静かに。


やがて答える。


「疲れます」


エルシアの目が少し動く。


アルトは続けた。


「ですが」


窓の外を見る。


帝都。


帝国。


未来。


その全てを見ながら。


「私しか出来ないことがあります」


エルシアは黙って聞いている。


アルトは静かに言った。


「だからやります」


短い言葉だった。


だが。


そこには皇太子としての覚悟があった。


エルシアは小さく頭を下げる。


「そうですか」


それ以上は聞かなかった。



面談も終盤へ入る。


アルトは資料を閉じた。


「エルシア嬢」


「はい」


「以前説明した件です」


帝国大使の話だった。


選ばれなかった場合。


帝国は侯爵級魔力を授与し、


大使や高官として迎える。


候補者全員へ説明済みの内容。


アルトは続ける。


「もし選ばれなかった場合でも」


「帝国はエルシア嬢を高く評価しています」


エルシアは静かに聞く。


アルトは真っ直ぐ言った。


「統合能力」


「調整能力」


「政治判断」


「非常に優秀です」


一拍。


「帝国大使だけでなく」


「帝国中央政務院でも十分通用するでしょう」


それは最高クラスの評価だった。


帝国中枢。


帝国を動かす側。


エルシアは理解している。


だからこそ。


静かに答えた。


「光栄です」


アルトは頷く。


そして続けた。


「ですが」


「まだ結果は出ていません」


エルシアは微笑んだ。


「はい」


その瞳には迷いがない。


「まだ終わっておりませんので」


アルトも少しだけ笑う。


「そうですね」



面談終了。


エルシアは中央塔を後にする。


扉が閉まる。


廊下を歩きながら考える。


皇太子。


アルト・シクタルン。


強い。


賢い。


優しい。


そして。


誰よりも多くを背負っている。


エルシアは小さく息を吐いた。


「本当に」


静かな声。


「難しい方ですね」


だが。


その表情には微かな笑みがあった。



一方。


中央塔では。


アルトが一人で帝都を見下ろしていた。


個別面談は残り一人。


最後の候補者。


そして。


その面談が終われば。


いよいよ選抜は最終段階へ入る。


アルトは机の上の最後の資料を見る。


そこに記されていた名前。


――最終候補者。


皇太子妃選抜は、


静かに終盤へ向かっていた。


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