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[完結保証]規格外の最強皇子、自由に生きて無双する〜どこへ行っても、後世まで語られる偉業を残していく、常識外れの皇子〜  作者: 西園寺
婚約者選抜

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第127話 個別面談・エリ

テジナとの個別面談が終わった翌日。


次に呼ばれた候補者は――


エリ・エストル。


エストル樹国の世界樹の巫女だった。


案内された場所を見た瞬間。


エリは静かに目を細めた。


そこは皇城でも会議室でもない。


帝都北東部。


皇族管理区画に存在する広大な森だった。


帝都が造られる遥か昔から残る古森。


その中心には巨大な神木が立っている。


世界樹ではない。


だが。


数千年を生きる古木だった。


エリは木を見上げる。


そして小さく呟いた。


「嬉しいです」


アルトは隣に立っていた。


「そうですか」


「はい」


エリは静かに微笑む。


「この木は、とても長く生きています」



二人は森の中を歩く。


鳥の声。


風の音。


木漏れ日。


帝都の喧騒が嘘のような静けさだった。


しばらく歩いた後。


アルトが口を開く。


「帝都視察の時」


「森の問題を気にしていましたね」


エリは頷く。


「はい」


「多くの方は道を見ていました」


アルトは続ける。


「ですがエリ様は森を見ていた」


エリは少し考えた。


そして答える。


「道は人が作れます」


「ですが森は作れません」


風が吹く。


葉が揺れる。


エリは続けた。


「百年」


「二百年」


「千年」


「それだけの時間が必要です」


アルトは静かに聞いていた。



やがて二人は神木の前へ辿り着く。


巨大な幹。


見上げても頂上が見えない。


エリはそっと幹へ触れた。


「この木も」


「たくさんの人を見てきたのでしょうね」


アルトは尋ねる。


「エリ様は人より木を見るのですか」


エリは少しだけ首を傾げた。


「逆です」


アルトが目を向ける。


エリは微笑んだ。


「木を見ると人が見えます」


静かな言葉だった。


だが不思議と重みがある。


「どんな国も」


「どんな王も」


「永遠ではありません」


「ですが残したものは残ります」


一拍。


「だから私は未来を見ます」


アルトは黙った。


その考え方は帝国貴族とも違う。


王族とも違う。


巫女だからこその視点だった。



しばらくして。


今度はエリが尋ねた。


「私からも質問してよろしいでしょうか」


「構いません」


アルトは答えた。


エリは真っ直ぐアルトを見る。


淡い瞳。


静かな視線だった。


「殿下は何を守りたいのですか」


風が止まる。


アルトは少し考えた。


すぐには答えない。


やがて。


静かに口を開く。


「帝国です」


エリは黙って聞く。


アルトは続けた。


「民」


「家族」


「仲間」


「未来」


「その全てを含めた帝国です」


エリは微笑んだ。


「やはり」


アルトが目を向ける。


エリは神木を見上げながら言った。


「殿下は国を守っているのではありません」


「未来を守っているのですね」


その言葉に。


アルトは何も返さなかった。


だが否定もしなかった。



面談も終盤に入る。


神木の下。


アルトは静かに言った。


「エリ様」


「はい」


「以前お話しした件です」


帝国大使の話だった。


選抜に敗れた場合でも。


帝国は各候補者を迎える。


侯爵級魔力を授与し。


帝国と各国を繋ぐ存在となってもらう。


エリは静かに聞く。


アルトは続けた。


「もし選ばれなかった場合でも」


「帝国はエリ様を高く評価しています」


エリは少しだけ首を傾げる。


「私をですか」


「はい」


アルトは頷いた。


「長期的視点」


「自然との共存」


「未来への責任」


「それは帝国にも必要な考え方です」


エリは静かに目を伏せた。


アルトは続ける。


「帝国大使だけでなく」


「連合環境管理局」


「あるいは森林保全機関の中核も務まるでしょう」


エリは少し驚く。


だが。


やがて小さく微笑んだ。


「光栄です」



面談終了。


森の出口へ向かう。


その途中。


エリは立ち止まった。


アルトを見る。


そして言った。


「ですが」


アルトは静かに聞く。


「まだ終わっていません」


エリは微笑む。


「私も負けるつもりはありませんので」


アルトも少しだけ笑った。


「ええ」


「そうでしょうね」



エリが去った後。


アルトは一人で神木を見上げていた。


数千年を生きる古木。


帝国よりも古い存在。


その枝が風に揺れている。


しばらくして。


ギルタルが近づいてきた。


「面談は終了しましたか」


「はい」


アルトは頷く。


そして静かに言う。


「エリ様は面白い方ですね」


ギルタルも同意した。


「世界樹の巫女ですから」


アルトは再び木を見上げる。


未来を見る者。


帝国を見る者。


民を見る者。


制度を見る者。


候補者たちは皆違う。


だからこそ難しい。


やがてアルトは歩き出した。


次の面談が待っている。


次に資料へ記されていた名前は――


エルシア・ラインハルト。


現時点で最も王妃に近いと評価される少女。


そして。


アルト自身が最も注目している候補者だった。


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