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[完結保証]規格外の最強皇子、自由に生きて無双する〜どこへ行っても、後世まで語られる偉業を残していく、常識外れの皇子〜  作者: 西園寺
婚約者選抜

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第125話 個別面談・セレナ

レティアとの個別面談が終わった翌日。


皇城。


次に呼ばれた候補者は――


セレナ・シドル。


シドル大公国の大公女だった。


彼女が案内された場所は少し特殊だった。


巨大な建物。


帝国中央法務院。


帝国の法令。


行政規則。


各種制度。


それらを管理する帝国中枢機関である。


セレナは建物を見上げた。


「なるほど」


小さく呟く。


「私らしい場所ですね」


アルトは頷いた。


「そう思いました」



二人は法務院の廊下を歩いていた。


壁一面に並ぶ書庫。


無数の法令集。


過去の判例。


行政記録。


一般人なら眩暈を起こしそうな量だった。


だが。


セレナの表情は変わらない。


むしろ興味深そうだった。


アルトが尋ねる。


「退屈ではありませんか」


セレナは少し首を傾げた。


「なぜですか」


「多くの方はそう言います」


するとセレナは静かに答えた。


「制度は面白いです」


アルトの口元が僅かに緩む。


予想通りだった。



やがて二人は会議室へ入る。


机の上には数冊の資料が置かれていた。


アルトはその一冊を開く。


「帝都視察の際」


「事故現場で構造上の問題を指摘しましたね」


セレナは頷いた。


「はい」


「露店配置です」


「交差点の避難路が塞がれていました」


アルトは尋ねる。


「なぜそこに気付いたのですか」


セレナは少し考えた。


そして答える。


「人は間違えます」


アルトは黙って聞く。


「荷車も壊れます」


「事故も起きます」


「だから制度は、人が失敗する前提で作るべきです」


静かな声だった。


だが非常に重い。


セレナは続ける。


「優秀な人だけを前提にした制度は必ず壊れます」


「普通の人が運用しても動く制度でなければなりません」


アルトは頷いた。


帝国中枢でも重視される考え方だった。



しばらくして。


アルトは別の質問をした。


「帝国の強みは何だと思いますか」


セレナは迷わない。


「継続性です」


即答だった。


アルトは興味深そうに聞く。


セレナは続ける。


「皇帝が変わっても動く」


「官僚が変わっても動く」


「将軍が変わっても動く」


「それが帝国の強さです」


会議室が静かになる。


セレナはさらに言った。


「多くの国は優秀な個人に依存します」


「ですが帝国は違う」


「個人が抜けても制度が残る」


「だから強いのです」


アルトは少しだけ笑った。


「高い評価ですね」


「事実です」


セレナは平然と答えた。



すると今度はセレナが質問する。


「一つ伺ってもよろしいでしょうか」


「構いません」


アルトは答えた。


セレナは真っ直ぐ見つめる。


「殿下は制度を信じますか」


予想外の質問だった。


アルトは少し考える。


そして答えた。


「半分です」


セレナの目が少し動く。


アルトは続けた。


「制度は必要です」


「ですが制度だけでは人は動きません」


「最後に決断するのは人です」


セレナは静かに聞いている。


アルトは言った。


「だから私は制度も作ります」


「ですが人も見ます」


セレナは小さく頷いた。


「なるほど」


その答えは納得できた。



面談も終盤に入る。


アルトは資料を閉じた。


「セレナ嬢」


「はい」


「以前お話しした件ですが」


帝国大使の話だった。


セレナは静かに聞く。


アルトは続けた。


「もし選ばれなかった場合でも」


「帝国はセレナ嬢を高く評価しています」


セレナは表情を変えない。


だが集中していた。


「特に制度設計能力です」


「法整備」


「行政改革」


「連合運営」


「その全てで優秀です」


アルトは真っ直ぐ言う。


「帝国大使だけでなく」


「連合法務局の中核になれるでしょう」


セレナの目が僅かに見開かれる。


それは極めて高い評価だった。


「光栄です」


静かな返答。


だが本心だった。


アルトは続ける。


「ですが」


「結果はまだ出ていません」


セレナは頷く。


そして言った。


「当然です」


「まだ終わっていませんから」


アルトも頷いた。


「ええ」



面談終了後。


法務院を後にするセレナ。


歩きながら考える。


制度。


人。


国家。


帝国は単純な国ではない。


だから面白い。


セレナは小さく息を吐いた。


「簡単ではありませんね」


だが。


その表情には僅かな笑みがあった。


強敵がいる。


優秀な候補者もいる。


そして。


自分もまだ負けるつもりはない。


その頃。


皇城の執務室。


アルトは次の資料へ手を伸ばしていた。


そこに記されていた名前。


テジナ・アジス。


獣王国の王女。


軍事と現場を知る少女。


次の個別面談が始まろうとしていた。


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