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[完結保証]規格外の最強皇子、自由に生きて無双する〜どこへ行っても、後世まで語られる偉業を残していく、常識外れの皇子〜  作者: 西園寺
婚約者選抜

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第124話 個別面談・レティア

ユリアとの個別面談が終わった翌日。


皇城。


次に呼ばれた候補者は――


レティア・ブロドン。


ブロドン共和国を代表する有力商家の令嬢だった。


案内された場所を見た瞬間。


レティアは小さく笑った。


「これはまた、面白い場所ですね」


そこは会議室ではない。


庭園でもない。


帝都最大の中央市場だった。


朝から多くの人々で賑わっている。


商人。


職人。


冒険者。


貴族の使用人。


様々な人間が行き交っていた。


アルトは市場を見ながら言う。


「レティア嬢なら、ここが一番だと思いました」


レティアは微笑む。


「高く評価していただいているようで嬉しいです」



二人は市場を歩き始める。


レティアの視線は絶えず動いていた。


商品。


客。


店主。


荷車。


値札。


全てを見ている。


アルトは尋ねた。


「何が見えますか」


レティアは即答した。


「景気です」


アルトは少しだけ興味を示す。


レティアは続ける。


「魚は安いですね」


「今朝大量に入ったのでしょう」


「逆に果物は高い」


「南方の輸送が少し遅れています」


アルトは視線を向ける。


確かにそうだった。


値段だけでそこまで読む。


普通の人間にはできない。


レティアはさらに続ける。


「こちらの店は売れています」


「ですが隣は苦しいですね」


「一ヶ月以内に何か変えないと厳しいと思います」


アルトは問う。


「なぜ分かるのですか」


レティアは笑う。


「お客様の目を見れば分かります」


その答えにアルトは少しだけ目を細めた。



しばらく歩いた後。


アルトは本題へ入る。


「連合裁定の時」


「市場の流れを重視していましたね」


レティアは頷く。


「はい」


「流れが止まることが一番危険です」


アルトは尋ねる。


「利益よりもですか」


レティアは少しだけ考える。


そして答えた。


「利益は流れの結果です」


「流れが死ねば利益も死にます」


その言葉は実に商人らしかった。


レティアは続ける。


「お金も物資も人も同じです」


「動いているから価値があります」


「止まれば腐ります」


アルトは静かに聞く。


レティアの考え方は面白かった。


国を見る。


制度を見る。


ではない。


流れを見る。


それが彼女の強みだった。



やがて。


二人は市場の中央広場へ辿り着く。


多くの人が行き交う場所。


レティアは広場を見渡した。


そしてふと尋ねる。


「殿下は、帝国の強さを何だと思いますか」


アルトは少し考えた。


「色々あります」


「軍」


「制度」


「技術」


「領土」


レティアは頷く。


「その通りです」


一拍。


「ですが私には違うものが見えます」


アルトは黙って聞く。


レティアは市場を見渡した。


「帝国は流れを止めない」


「それが一番恐ろしいと思います」


風が吹く。


レティアは続けた。


「戦争があっても流れる」


「災害があっても流れる」


「事件が起きても流れる」


「だから強い」


アルトの表情が僅かに変わる。


レティアは笑った。


「商人の視点ですけれどね」


だが。


その言葉は本質を突いていた。



面談も終わりに近づく。


アルトは立ち止まった。


「レティア嬢」


「はい」


「以前お話しした件ですが」


レティアは理解した。


帝国大使の話だ。


選ばれなかった場合。


帝国へ仕える道。


侯爵級魔力の授与。


既に説明されている。


アルトは言う。


「もし選ばれなかった場合でも」


「帝国はレティア嬢を高く評価しています」


レティアは微笑む。


「光栄ですね」


アルトは続ける。


「特に経済分野です」


「連合交易」


「港湾管理」


「物流統括」


「その分野で非常に優秀です」


レティアの笑みが少し深くなる。


それは最大級の評価だった。


アルトはさらに言った。


「帝国大使だけでなく」


「連合経済局の中核候補にもなれるでしょう」


レティアは僅かに驚いた。


帝国大使以上。


連合全体の経済管理。


それは大きな権限を持つ立場だった。


「魅力的なお話ですね」


レティアは答える。


だが。


すぐに笑った。


「ですが」


アルトを見る。


「まだ負けるつもりはありません」


アルトも少しだけ笑う。


「そうでしょうね」


「当然です」


レティアは胸を張った。


「商人は最後まで利益を諦めませんから」



面談終了後。


市場を後にするレティア。


その表情は明るかった。


皇妃。


帝国大使。


連合経済局。


未来の道はいくつもある。


だが。


まだ選抜は終わっていない。


レティアは小さく笑う。


「面白くなってきましたね」


その視線は皇城へ向いていた。


そして。


アルトは次の資料へ手を伸ばす。


そこに書かれていた名前。


セレナ・シドル。


制度を見抜く才女。


次の個別面談が始まろうとしていた。


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