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[完結保証]規格外の最強皇子、自由に生きて無双する〜どこへ行っても、後世まで語られる偉業を残していく、常識外れの皇子〜  作者: 西園寺
婚約者選抜

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第112話 第二段階

深夜。


迎賓館の一室。


アルト・シクタルンとギルタル・アルノーは、机の上に置かれた数枚の紙を見ていた。


その向かいには、リベナとリリがいる。


部屋の空気は静かだった。


だが、その静けさは穏やかなものではない。


リリが持ち帰った資料。


焼け残った紙片。


候補者名簿。


そして――。


『第二段階へ移行する』


という短い文。


アルトは紙を見つめたまま言う。


「やはり、候補者そのものが目的ではありませんね」


ギルタルも頷く。


「はい。候補者名簿が残されていたことから考えても、選抜そのものへ干渉する意図があります」


リベナが静かに言った。


「候補者を争わせる気なのでしょう」


アルトは目を細める。


「私もそう思います」


一拍。


「皇太子妃選抜は、各国の未来がかかっています」


「だからこそ」


リベナが続ける。


「候補者同士が疑い合えば、それだけで価値があります」


リリは短く言った。


「戦わせる方が簡単です」


アルトは静かに頷いた。


そして、紙を机へ置く。


「では、こちらも準備をしましょう」


ギルタルの目が細くなる。


「第二段階に備えるのですね」


「ええ」


アルトは答えた。


「来るでしょうから」



翌朝。


迎賓館。


候補者たちは、それぞれの部屋で朝を迎えていた。


そして。


ほぼ同じ時間に。


全員の部屋へ一通の封筒が届けられた。


差出人はない。


封印もない。


ただ、机の上に置かれている。


最初に開いたのはミレーユだった。


「何だろう?」


中の紙を広げる。


そして。


彼女の表情が少し曇った。


そこには書かれていた。


――帝国は最初からエルシア・ラインハルトを選ぶ予定だ。


――他の候補者は形式に過ぎない。


ミレーユは紙を見つめる。


「そんな……」


だが。


すぐに首を振った。


「いや」


昨日の選抜を思い出す。


アルトの態度。


評価の仕方。


あれが最初から決まっていたようには見えなかった。


それでも。


少しだけ胸がざわつく。



別室。


レティアも封筒を開いていた。


そこには。


――エルシアは帝国内の有力貴族の娘だ。


――最終的に選ばれるのは彼女だろう。


――帝国は出来レースを行っている。


レティアは読み終えた。


そして。


笑った。


「雑ですね」


紙を机へ置く。


「誰が得をするのかしら」


怒るより先に考える。


誰に送ったのか。


何のために送ったのか。


それが先だった。



セレナの部屋。


彼女は手紙を読んだ後、すぐに別の紙を取り出していた。


文体。


表現。


言葉遣い。


分析している。


「同一人物ですね」


差出人を隠している。


だが、癖までは消えていない。


セレナは静かに呟く。


「狙いは感情ですか」



テジナの部屋。


彼女は紙を読み。


三秒後。


丸めた。


そしてゴミ箱へ投げ捨てた。


「くだらない」


終わりだった。



エリの部屋。


エリは窓際で紙を読んでいた。


やがて静かに言う。


「不安の種ですね」


風が窓から吹き込む。


紙が揺れる。


「でも」


エリは小さく微笑んだ。


「種は土がなければ育ちません」



ユリアは保留した。


リベナは最初から工作だと判断した。


そしてエルシアもまた、同じ結論へ辿り着いていた。


「誰も信じなくなることが目的……」


手紙を見つめる。


内容は問題ではない。


重要なのは。


候補者たちの間へ疑念を植えること。


それが危険だった。



その日の昼。


候補者全員が広間へ集められた。


アルトが立っている。


隣にはギルタル。


候補者たちが席につく。


その時だった。


アルトが机の上へ数枚の紙を並べた。


全員が息を呑む。


それは。


自分たちが受け取った手紙だった。


「やはり」


セレナが呟く。


アルトは静かに言った。


「皆様にも届いたようですね」


誰も否定しない。


アルトは全員を見渡す。


「これが第二段階です」


広間が静まり返る。


アルトの声だけが響く。


「敵は、私たちを分断しようとしています」


テジナが鼻を鳴らす。


「回りくどいわね」


「直接攻撃するより安上がりです」


レティアが答えた。


アルトは頷く。


「その通りです」


一拍。


「信頼を壊せば、人は勝手に争います」


候補者たちの表情が引き締まる。


アルトは続けた。


「ですので」


ギルタルが資料を配る。


全員が受け取る。


表紙を見た瞬間。


候補者たちの目が変わった。


そこには大きく書かれていた。


『第五次選抜 共同調査』


ミレーユが目を丸くする。


「共同……?」


レティアが楽しそうに笑う。


「なるほど」


セレナも理解した。


アルトは静かに告げる。


「次の選抜は協力です」


候補者たちの視線が集まる。


「誰が優秀かではなく」


「誰と協力できるか」


「誰を理解できるか」


「誰をまとめられるか」


アルトの紫の瞳が全員を見渡した。


「そして」


一拍。


「誰が、この事件の真相へ辿り着けるか」


広間の空気が変わる。


皇太子妃選抜。


それは今。


単なる婚約者選びではなくなっていた。

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