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完結編 最後の女の選択

シリーズ最終話になります。


今回は快楽と依存、

そして“自分で選んでしまう恐ろしさ”をテーマに書きました。


最後まで読んで頂けたら嬉しいです。


高瀬は、もう媚薬を用意できなくなっていた。


金は底をつき、入手先も消えた。


だが、それでも関係は続くと思っていた。


媚薬が無くても、佐伯は戻ってくる。

そう信じたかった。



最初に変化したのは、佐伯の沈黙だった。


会う回数が減り、視線が揺れるようになる。


そしてある日、佐伯は静かに聞いた。


「……もう、手に入らないの?」


その瞬間、高瀬は理解してしまう。


佐伯が求めていたのは、自分ではなかったのだと。



媚薬によって壊される感覚。

理性を失っていく快楽。

何もかも忘れられる時間。


佐伯は、そこへ堕ちていた。


そして今、自分の意思で、もっと深い場所へ進もうとしている。


高瀬は止められなかった。


いや——最初から分かっていた。


いつか、こうなることを。


自分は“堕ちていく姿”に惹かれていた。


ならば最後に待っているのは、破滅しかない。



ある夜、高瀬は街で佐伯を見かける。


隣には知らない男がいた。


見たこともない、危険な空気を纏った男。


その手には、小さな瓶。


佐伯はもう、高瀬を見ない。


迷いもない。


ただ静かに、その男について行く。



高瀬は立ち尽くしたまま、ようやく理解する。


自分が愛だと思いたかったものは、

快楽へ堕ちる入口だったのだと。


清らかな感情を信じていた。


だが本当は、自分自身もまた、

壊れていく過程に酔っていただけだった。



佐伯はもう戻らない。


だが、高瀬には分かっていた。


これは終わりではない。


もっと危険な誰かと出会い、

もっと深い場所へ堕ちていく。


それでも佐伯は、自分で選ぶのだろう。


快楽を。


理性を失う感覚を。


そしてきっと、

次もまた——戻れない。


ここまで読んで頂き、本当にありがとうございました。


この作品では、媚薬によって壊れていく女性だけではなく、それを求めてしまう人間の弱さを書き続けてきました。


一度でも快楽へ依存してしまえば、理性や日常は少しずつ壊れていく。


それは特別な誰かではなく、誰にでも起こり得る危うさなのかもしれません。


最後まで付き合って頂き、本当にありがとうございました。


尚別の読み切り作品で高瀬と佐伯の後日談を執筆中です。

是非ここまで読んで頂いた皆様にお読み頂けると薬物の怖さを理解して頂けると思います。

よろしくお願いします。

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