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第12話 再会の温度

再会後の静かな時間を書いた回になります。


今回は激しい展開というより、

互いに戻れなくなっている感情を中心に描きました。


少しでも空気を感じてもらえたら嬉しいです。



部屋へ入った瞬間、佐伯はようやく息を吐いた。


ここへ来るまで、ずっと怖かった。


また壊れるかもしれない。

もう戻れなくなるかもしれない。


それでも、高瀬の部屋へ入った瞬間だけ、不思議な安心感があった。


高瀬もまた、静かだった。


再会した瞬間から、自分の中の空白が埋まっていく感覚に気づいていた。


もう会わない方がいい。

そんなことは最初から分かっていた。


だが、佐伯が目の前にいるだけで、理性より先に安堵してしまう。


それが何より危険だった。



高瀬は小瓶を取り出す。


佐伯はもう迷わない。


あの日のような恐怖は残っている。

それでも、求めてしまう。


高瀬の隣で感じる熱。

理性が崩れていく感覚。

何も考えなくて済む時間。


そのすべてが、佐伯にとって“戻りたかった場所”になっていた。



夜が深まる頃、高瀬はふと考える。


これは愛なのだろうか、と。


だが答えは出ない。


互いに壊れながら、それでも求め合っている。


それだけは確かだった。


そして佐伯もまた、高瀬の腕の中で静かに理解していた。


もう普通には戻れない。


それでも、自分はこの男を選んでいるのだと。

読んで頂きありがとうございます。


佐伯にとって高瀬の存在は、

恐怖だけではなく“安心”にも変わってきています。


壊れていると分かっていても、

戻ってしまう感情を書きたかった回でした。


次回はいよいよ衝撃的な女の選択最終話になります。


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