第9話:自業自得の末路
ルナリア帝国の騎士団に連行された『銀翼の風』の三人。
彼らを待っていたのは、国際問題レベルの過酷な処罰と、容赦ない現実だった。
冒険者ギルド本部に通報された結果、彼らが長年にわたってシルフィに行っていた不当な搾取、報酬の横領、そして危険行為の強要がすべて明るみに出た。
ギルド長からの言い渡された決定は、あまりにも冷酷で、しかし当然のものだった。
「『銀翼の風』のS級およびA級への昇格権利を永久剥奪。ならびに冒険者ライセンスの【即時剥奪・追放】とする。二度と冒険者を名乗ることは許さん」
「そんな……! ライセンス剥奪なんて……俺たちのこれまでの努力はどうなるんだよ!?」
ダグラスが縋り付くように叫ぶが、ギルド長は冷ややかに一蹴した。
「努力? 努力していたのは君たちに切り捨てられたあの少女だ。君たちは彼女の才能にタダ乗りしていただけに過ぎん。……それから、これを見ろ」
ギルド長が突きつけたのは、積み上がった膨大な請求書の山だった。
「君たちが踏み倒していた過去の装備修理費、今回の違約金、さらに皇太子殿下の御前で不敬を働いたことに対する莫大な賠償金だ。総額……金貨五千枚」
「ご、五千枚……!? そんなの、一生かかっても払えるわけないじゃない!!」
ミレーナが悲鳴を上げる。
「払えないなら体で返してもらうまでだ。隣国の最果てにある魔導鉱山での強制労働十年の刑が決定している。……安心しろ、死亡保障くらいはつけてやるからな」
「嘘でしょ……やだ……やだぁぁぁっ! 私は聖女なのよ!? なんでそんな汚い鉱山で働かされなきゃいけないのよぉっ!」
フィオナがなりふり構わず泣き叫び、地べたに伏して命乞いをする。
「シルフィちゃん……! お願い、助けて! 私たち、仲良しだったじゃない! 謝るから、殿下に言って許してもらってぇぇっ!」
しかし、その声がシルフィのもとに届くことはなかった。
かつて自分たちが「役立たず」と蔑み、路頭に迷わせた少女は、今や遠い雲の上の存在。
いくら後悔の涙を流そうと、失った信頼と犯した罪の重さが消えることはない。
ボロボロの作業着に着替えさせられた三人は、冷たい鉄格子を嵌められた馬車に乗せられ、二度と戻れない最果ての鉱山へとドナドナと運ばれていった。
『銀翼の風』の名は、冒険者たちの間で「仲間を粗末に扱って自滅した愚か者どもの代名詞」として、笑い話のように語り継がれることになるのだった。




