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第4話:皇太子の極上甘やかしライフ






「——ここが今日から君の工房兼、住居だ」


ガタゴトと揺れる豪華な馬車を降りた私を待っていたのは、白亜の壁と美しい庭園に囲まれた、お城と見紛うばかりの大邸宅だった。


「え、えええ……っ!? こ、ここ、家一軒ぶん以上ありませんか!?」

「当たり前だろう? 我が国を救う国宝級の職人に、狭い部屋などあてがえるわけがない。工房の地下には最高級の魔導土や鉱石を無制限に使える備蓄庫も完備してある」


レオンハルト殿下は当然のような顔で微笑むと、私の手を引いて中へと案内してくれた。


案内された部屋は、ふかふかの絨毯に天蓋付きの大きなベッド、陽光が差し込む広々とした専用工房。

さらには、専属のメイドさんたちがずらりと並んで一礼している。


「シルフィ様、お召し替えと温かいお風呂のご用意ができております」

「あ、あの……! 私、ただの泥飾術士で、昨日までは追放された無一文だったのですが……!」


困惑して狼狽える私に、レオンハルト殿下はフッと目を細め、優しく私の両手を包み込んだ。


「以前のパーティーでの扱いは聞いている。……あのような愚か者どもに君の才能を搾取され、粗末に扱われていたと思うと、腹の虫が収まらないよ」


紫水晶の瞳に滲むのは、本気の怒りと、私に向けられた深い愛おしさの光だった。


「これからは、君の技術を誰も否定させない。君が心置きなく大好きな『泥捏ね』に没頭できるよう、私が全力で守り、甘やかさせてもらうよ」

「で、殿下……っ」


あまりの眩しさに顔が熱くなる。


さらに、夕食の時間にはテーブルから溢れんばかりの最高級料理が並べられた。


「さあ、シルフィ。まずは好きなだけ食べて旅の疲れを癒やすといい。君は少し痩せすぎだ。これからは毎日、美味しいものをたくさん食べて笑っていてほしい」

「は、はい……! いただきます……っ!」


一口食べると、ほっぺたが落ちそうなほどの美味しさが広がった。


(温かいごはん……綺麗なお部屋……私の技術をこんなにも認めてくれる人……)


『銀翼の風』にいた頃は、冷えたパンくずをかじりながら、深夜まで泥を練り直す日々だった。

雑用と罵られ、どれだけ尽くしても「泥遊び」と笑われていた。


目の前で私を愛おしそうに見つめるレオンハルト殿下の温かい眼差しに、胸の奥がじんわりと熱くなる。


「……こんなに良くしてもらって、いいんでしょうか」

「いいに決まっているだろう。むしろ、私の方こそ君を引き留めるために必死なのだからね」


レオンハルト殿下は私の指先に軽く口づけを落とすと、甘く微笑んだ。


「君の作るものは、すべて愛おしい。……もちろん、君自身もね」

「うわあぁ……っ!?」


顔を真っ赤にする私を見て、レオンハルト殿下は嬉しそうに目を細めるのだった。


——そしてその頃。

装備が崩壊してボロボロになった元パーティー『銀翼の風』は、王都で途方に暮れていた。






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