第9話 新たな乗り物☆大型バイク!
「大丈夫か?!」
「ご、ごごご、ごめんなさあああい!!」
「いや無事ならいいんだ、本当に怪我は無いんだな?」
コクコク頷く少年、そして逃げて行った、
こんな形で領民に怪我させなくて良かった、
一方ではセッティングされるお茶会テーブル。
「一番怪我が酷い方は、どなたですか?」
「まだ胸がぁ、痛いですねぇ」「そうですか、では」
「あっ、ベティちゃんが痛いってことは回復魔法が」「いえ、これは最終手段なのですが」
てきぱきと紅茶を淹れ、
お菓子を人数分取り出した、
あいかわらず謎の空中から……
「ではベティ様はテーブルの下へ」「はいぃ」
「お嬢様とジャック様は白い椅子へ」「はい~」「んしょ」
「それでは只今より、お茶会を始めさせていただきます」「まだ車から煙が出てるけど!」
そして主催枠に座ったのは……ってナオミさん?!
メイドが、お世話係が座るんだ、だから最終手段なのか。
「では早速、マフィンをいただきましょう」
うん、これはこれで美味しい、
お菓子というより食事の部類とでも言うか、
パンの延長線上っていう感じ、でもおやつにも丁度いいかな。
(そして周囲に影が、ってこれ虹色だ!)
ナオミさんが小さな板?
手鏡っぽい感じもするな、
それを操作して、また音楽が。
「曲ってこれだけなんですか?」
「厳密には『オクラホマミキサー』というのは曲名ではなく……」
「胸が楽になってきましたわぁ~」「あっ、踊っているね、虹の影兵さんたち」
テーブル下のベティちゃんにもマフィンを渡すと、
もう大丈夫なのかモキュモキュ食べている、その姿も、かわいい。
(愛らしい聖女様だなあ)
いやほんと、
あと普通に座っているアンお嬢様もかわいい、
美人系ゆるふわお嬢様とでもいうか、さすが公爵令嬢。
「では主催席をベティ様と交代で」
「はいですわぁ、丁度ぉ、お紅茶もいただきたくなった頃でぇ」
テーブルの下からベティちゃんが入れ替わる、
ってナオミさんが潜ったってことは痛かったのね、
あのエアバッグとかいう風船、あれはあれで威力ありそうだったし。
(影も虹から光に交代だ)
これ人によって違う影になるのかな、
じゃあ僕が座ったら……灰色と予想してみる。
「お紅茶もぉ、美味しいですぅ」
「それで~、ジャック様ぁ~」「あっはいアンさん」
「結局~、私をお嫁に貰っていただけるのでしょ~かぁ~」「えっ、今更?!」
自分で『よくある戦略結婚』みたいなこと言っておいて!
「私もぉ~」「ベティちゃんも、う、うん、二人とも、婚姻の流れだけど」
「うれし~です~」「安心しましたぁ~」「ええっと、もうこれ以上、増えたりは」
「ど~でしょ~、わたくしは聞いておりませんが~」「私もですねぇ」「ま、まあそうだよね」
僕だって『増えるかも』としか聞いていない。
「もう大丈夫です」「あっ、アンナさん」
「まだこのまま食べられますか?」「さすがにお茶会三連戦は」
「アンさまはぁ、お怪我などはぁ」「私は平気です~、ジャック様は~」「僕も大丈夫」
ということで音楽が止まってお茶会終了、っと。
「では先にキッチンカーを仕舞いますね」
「このまま?! ていうか直るの??」「はい、24時間収納すれば」
「勝手に直るんだ」「異世界で修理を、ただ、お代の魔石が足りるかどうか」「それがあるんだ」
色々大変なんだな、
それよりもこれからの移動手段だ、
ここまで恐ろしく早く来られたとはいえ、こっから徒歩はキツい。
(それこそ領兵に拾って貰うか)
などと考えていたら、
テーブルを仕舞ったナオミさんが、
今度はまた何か異様な物体を召喚した!!
「新たな乗り物です」
「な、なんですかこれは」
「お店の名前が貼ってある、大型バイクです」
翼の無い小型、いや中型竜みたいな乗り物だ。
「これが動くんですか」
「はい、多少窮屈ですが私が運転して前に姫いやお嬢様、後ろがジャックさんで」
「私はぁ、置いて行かれるのでしょうかぁ~」「いえ、ベティ様はこちらにお乗りください」
続いてまた召喚したのは、
一人用の乗り物だ、簡素なやつ。
「これはぁ~」
「サイドカーです、バイクの横につけます」
「こんなのあるんだ、もうひとつ出して両側に設置すれば」「曲がれなくなりますよ」
ということで、
大型バイクでの移動となった。
「すみません、ヘルメットは私とアンお嬢様のしかなくて」
「危険なんですか?」「法律上、とはいえバイク三人乗りは、いえ異世界なので問題ないです」
「安全的には」「気をつけます」「はあ」「サイドカー、乗り込みましたわぁ」「では、特にジャック様はしっかりお捕まり下さいね」
……うーん、
さすがにこれが樹にぶつかったら、
さっきみたいに急停止しても、タダじゃ済まないな。
(ナオミさんの操作を、信じるか!)
ブロロロロロ!!
「うお、凄い音」
「エンジンです、では!!」
あわわわ、
加速が、加速がああああ!!!
(これもこれで、速い!!)
風を凄く感じる!
頼むから、安全に到着してくれよーって祈る僕なのであった。
ブロロロロロローーー……




