第8話 召喚魔法☆それは古代にあったという伝説!
車中、ようやく核心というか、
わけのわからない『召喚魔法』について聞けるタイミングが来た、
このキッチンカーという謎の乗り物を動かすナオミさんについてもだ。
「でも~、ナオミは~、運転中ですので危ないので~、
わたくしが~、基本的には~、答えさせていただきますね~」
「あっはい、それでナオミさんって何者なんですか?!」「メイドですね~」
それは聞いた。
「申し遅れました、ナオミ=スズキと申します、38歳です」
「えっ良いの年齢」「メイドですから」「わたくしの~、個人メイドです~」
「じゃあ公爵家を出されてからも」「生涯~、仕えて下さるそうですよ~」「姫の、いえお嬢様のために」
おっと向こうから来て驚いた馬車を上手く躱している、
あの舵さばき凄いな、ちょっと揺れたけどすぐ安定する、
そしてやはり特筆すべきはこの速さだ、ドラゴンに乗っているのと同じ速度かも知れない。
「ナオミさまはぁ、召喚士なのですよねぇ?」
「はいベティ様」「ウチのメイドは~、幻の『召喚士』で~」
「学校で軽く習ったよ、失われた古代魔法、その中に召喚魔法っていうのがあるって」
ただし、召喚するのは神とか悪魔とか、
それに似たような存在、ようは魔物なんかよりよっぽど強い……
あのテーブルの周辺に沸いて出てきたのが、やっぱりそれなだろう。
(さっきの回復魔法とか、凄かったもんなあ)
あれについて詳しく聞きたい。
「ナオミの召喚は~、お茶会しないと発動しないのです~」
「ええっと、でもこの『キッチンカー』というのは召喚したんですよね?」
「いえ、厳密には収納していたのを出しただけです、あのテーブルや椅子もです」
どれだけ入るんだよ、
亜空間魔法なんて持っているだけで、
国王陛下のお抱え宮中魔道士になれちゃうだろうに。
「じゃあ、お菓子や紅茶も」
「あれは購入していますというか、私が買って私が提供、いえ、私が売っているとでもいうか」
「???」「ナオミは~、召喚で『お取り寄せ』をやっているのです~、お代は魔石です~」「それはちょっと聞いた」
ちなみに改めて魔石というのは、
魔物の核というか、魔力の動力源というか、
色々と使い道があるので便利な物だ、基本的に魔物だけが落とす。
(いや、人だって持ち歩いてたら落とすけど!)
そういう屁理屈はいいんですよ。
「あのぉ、ナオミさまはぁ、どこから購入なさっているのでしょうかぁ~」
「異世界ですね、このキッチンカーも姫が嫁に出たタイミングで購入しました」
「えっ、どこで買えるの」「これに関しては店長のジョージさんの所から」「誰えええええ?!?!」
居るんだ店長!
「ジャック様~、このあたりの詳しい話は~、説明が面倒だそうです~」
「まあとにかく、もろもろは異世界から召喚しているんですね、あっ、キッチンカー自体のお代ってどうやって」
「私の~、持参金を魔石に変えました~」「えっ、あったんだ持参金」「もう無いですね~」「……頑張って稼ごう」「はい~」
むしろこの『キッチンカー』が持参金、
いや嫁入り道具みたいなものなんだろうな、
故障とかしたらどうするんだろう、ナオミさんで直せるんだろうか。
(あーあー、まーた衛兵に止められようとしている)
速度が凄いからスルーできるが、
面倒くさいことになるのを嫌ってか横に駐車するナオミさん、
僕が降りて説明、今度はちょっと時間かかったが再度、乗り込んで出発っと。
「そういえばアンさんはこのキッチンカーを操れないんですか?」
「ナオミに~、任せています~」「ええっと、僕も出来るようになった方が」
「嬉しいです~、是非お願いします~」「時期を見て教えますね」「あっはい、お願いします」
色々と操作してるな、
踏んだりもしているし、
ちょっと複雑だけど頑張って覚えれば!!
「他に何か質問があれば」
「ナオミは運転中なので~、簡単なことは私が~」
「では、あの何か弄っていた小さい板? みたいなのは」「スマホですね、曲も流せます」
ああ、あのオクラホマミキサーとかいう。
「いったいどういったものなんでしょうか」
「店長とも通話できますが、詳細は説明がややこしく面倒なので」
「では、簡単に言うと」「異世界との通信、そういう魔法だと思って下さい」
異世界、ねえ。
「ひょっとしてナオミさんって」
「はい~、その異世界出身だそうです~」
「私は店員でした、そしてこちらでも、同じような事をしようかと」
おっ、今度は何も無いのにキッチンカーが止まった!
「……異世界の飲み物『コーラ』です」
何もない空中から出してくれる、
これ紙で出来たコップなのかな?
よく漏れないものだ、飲むと……しゅわしゅわする!
「なんですかこれ、美味しい」
「甘いですぅ」「たまに飲むのが美味しいですわ~」
「他にも色々とありますが、まあおいおい、期間限定商品もありますので」
ふとここで、
ひとつのことが気になった、
再度走り始めるキッチンカー。
「あのすみません、これ聞いて良いのかわかりませんが」「はい」
「正直、わからないとは思いますが、まあ一応」「なんでしょうか」
「その、ナオミさんが働いていたお店、お取り寄せしているお店の名前は」
なぜかため息をつくナオミさん。
「……ミスタード、あっ」
前方を子供が飛び出してきた?!
キキーーーーーッッ!!!
間一髪で避ける、も……!!
ドカーーーン!!!
でかい樹にぶつかった!
同時に前方の席から大きな白い風船? が出る!!
「あらぁ~~~」
「ベティ様、大丈夫ですか?」
「はい~、これに守っていただきましたぁ~」「エアバッグですね」
凄い衝撃だった、
いやはや僕もシートベルトというのがあって良かった、
ナオミさんも少し痛そうにしている、ちょっと会話が過ぎたか。
「お茶会で~、回復しましょ~」
慌てて速度を落としたおかげか、
別にそこまで酷い怪我は無さそうだ、特に前にふたり……
それは良いけど、大丈夫かな、このキッチンカー自体が、降りて確認しなきゃ。




