第29話 そして☆みんなに見送られて出発!
「これを、勇者ホーリィ様に」
「はいっ、確かに受け取りましたっ!」
最後にドーナツ12個パックを2つ、
スタンピード阻止と大魔石最大の功労者と言って良い、
僕らの見送りに来られる訳のないお婆様にお土産を残した。
(途中で喰われないよな? いっそ依頼にでも、ってそこはもう信頼しよう)
ちょっと抜けている所はあるが、
なんだかんだ真面目で良い熟女受付嬢さんだし!
ということでいよいよお別れ、先にキッチンカーの運転席に乗り込むナオミさん。
「ではまずブラザさん、さすがS級という所を見せて頂きました」
「おう、ジャックも強くなれば、またいつかどこかで会うだろうよ!」
「その時にはまた改めてドーナツをご馳走させて下さい」「ああクエストでな!」
いやほんと、
喰っている間に攻撃できるから、
この大食漢デブさんには大助かりだった。
「シルバーイーグルの皆さんも、勉強になりました」
「私達もですよ、まさかあんな戦い方が存在していたなんて」
「あまり噂にはしないで下さいよ」「ドーナツがもったいないですからね」
いやまあ、
そういうことにしておいても良いか。
「最後にミリーナさん、僕の護衛も兼ねていたんですよね、ありがとうございました」
「まあ何だ、君の兄上から無理矢理結婚させられそうになったら追いかける、保護してくれ」
「僕がですか」「そのときは『ゆるゆる☆ふわふわ』に加入して勇者を目指すつもりだ、頼んだ」
押しかけ女勇者かあ。
「ていうか実際、今後は」「当分は領兵を続けたいが、縁談でよほど良い話があれば乗るかもな」
「つまりは未定と」「こればかりは出会いの縁だ、ジャックも良い出会いに恵まれたのではあるまいか?」
「まあ、そういえばそうですね、公爵令嬢に聖女様に、あとはまあ、あのとんでもないメイドさんが」
こんな所で異世界人とは言えないが、
キッチンカーを見たらね、これは反則過ぎる。
「では~、皆様~、お世話になりました~」
「旅立たせていただきますねぇ、ありがとうございましたぁ~」
そう言って頭を深々と下げ、
アンさんベティちゃんが後ろの扉から乗り込む、
ということは僕はナオミさんの隣か、そしてキッチンカーが動く、僕は窓からみんなに手を振って別れを告げる。
「それではまたー、いつかどこかでーー!!」
受付嬢の皆さんも手を振ってくれている、
うん、冒険者になって最初の旅立ちとしては、
最高の、むしろ出来過ぎと言っても良いくらいだ。
(もちろん問題は、まだまだあるけれども!)
あと正直言ってここまでは、
自分の辺境伯家のエリアな訳で、
ここから先は本当の意味での自力が必要となる。
(後は、戦い方なんだよなあ)
実はさっき冒険者ギルドへ行く前、
朝の武器防具屋で軽く装備は整えた、
少なくとも見た目は冒険者っぽくなっている、はずである。
(ポーターのメイド服は別にしてね!)
とかなんとか考えているうちに、
車についている鏡で後ろを見るともうグラナスの街は見えなくなった、
少し進めばもう隣の領地、一応はウチの領兵が居るだろうが話は通っているらしい。
(馬の無い、自力で走る変な車が通るよって!)
それは良いんだけれど、
いよいよ僕らの、これからの話だ、
後ろを見ると普通にゆるゆる☆ふわふわな2人が座って居る。
「ええっとアンさん」「はい~」
「ベティちゃん」「なんでしょうかぁ」
「改めて、お話しても良いかな」「はい~」「はいぃ~~」
うん、辺境伯領から出る前に、あと……
「出来ればナオミさんも」
「運転に支障が出ない程度でしたら」
「またぶつけないで下さいね」「飛び出してこなければ」
いやそれ本当に大丈夫なのかと、
まあいいや、後ろのふたり中心にお話しよう、
ある意味、この旅の方向を示す、大事な大切なお話だ。
「あっ、イノシシが」「えええ」
キキィィーーーッ!!
「ちょ、危ないって!」
「今回はきちんと避けました」
「いやほんと、僕にも運転教えて」「時間と場所があれば」
まずはあの『大型バイク』とかいうのからだな、
後ろの2人は平気そうにしている、シートベルトのおかげか、
そんなことよりもだ、まずは何から話そうか、そうだな、改めて根本的な事から……!!




