第18話 早速狩りへ☆助っ人の力を借りて!
「おう、待っていたぞ」
「ミリーナさん、おはようございます」
「あの高級宿はどうだった」「チップで破産しそうでした!」
そう、朝食を運んでくれたメイドにチップを渡したら、
とうとう銀貨まで無くなってしまった、ほんっと貴族の見栄は面倒くさい、
ということで銅貨しかなくなった僕は今日、たんまり稼がないと後が無いのですよ。
「私は朝食にあのドーナツをいただいた、美味しかったぞ」
「ですよねー」「だが足りん」「で、ですよねー」「ということでだ」「はい」
「基本的に領兵は依頼料は取らないのだが」「わかりました、終わったら」「本当か」「ええ」
むしろ安い、
いやチョロいまであるな、
でもドーナツ12個で足りないってすげえなあ。
「受付を~、済ませましょ~」
「あっはいアンさん、ってリーダーの僕がしないと」
「ようこそ! では冒険者カードを、ミリーナ様は騎士団員の」「これだな」
ということで出発登録完了、
日帰り予定で一応、例のスタンピード、
その地上部分の調査ということにして貰っている。
(でないと領兵なんて借りられない)
さあ、全力で稼ぎに行くぞー!
「それはそうとジャック、装備は」
「お金がもう無くて」「大丈夫か、本当に大丈夫か」
「一応、護身用の剣でスライム程度なら」「……まあ良い、ついてこい」
頼もしい助っ人だ、
いやこれミリーナさんの単独狩りに、
僕らがくっついて行っているみたいだ、邪魔になっちゃう。
(まあいっか、最初はミリーナさんが自分のドーナツ代を稼ぐってことで)
いかにも女騎士な格好のミリーナさんがずんずん進む、
その後ろから貴族の坊ちゃん、公爵令嬢、魔法の使えない聖女、熟女眼鏡メイドが続く、
いやこれ何の行進だよ、どこへ行って何をしようとしているのか、とても冒険者パーティーには見えねえ。
(何せパーティー名が『ゆるゆる☆ふわふわ』だからねえ)
そして森に入ると、
魔物が次々と襲ってくる。
「ふんっ! コイツら私なら容易いが、ジャック達はどうするつもりだったんだ」
「ええっと、とりあえずは魔物が適度に湧いて出る、それでいて広いスペースのある所へ」
「何かするのか」「ええ、僕らの正体というか、戦い方を見て貰うために」「もう少し行けば草原だ」
みんな頑張ってついていく、
たまーに横から来る敵は僕が剣で、
といっても手こずっているとミリーナさんが下がって斬ってくれる。
(たまに踏みつぶしてたな)
それにしてもこのあたりの魔物、
Eランクの僕らに合わせた感じだけど、
それでも現状、ミリーナさんが居なければまともに倒せない。
(何しに来たんだって言われそう)
幸いにも今のミリーナさんは、
ドーナツに釣られて頑張ってくれているが。
順調についていくと、言っていた通りの草原に出た。
「ここだ、奥へ行くと見えない巣穴から敵が沸く、
場所によってはDクラス、時間をかければCクラスの敵が沸く」
「ええっと、周囲から敵が徐々に徐々に増えて行く感じの所が」「こっちだ」
凄いなこの草原を把握してるんだろうか、
別に魔物の現在地を調べる魔法とか無いよな?
「あのぉ~、なぜわかるのでしょうかぁ~」
「ベティだったか、見ればわかる」「はぁ~」
「草原の全てをよーく見ればな、こればかりは経験だ」
確かに所々、変な盛り上がりがあるというか、
このあたり何も考えずに歩いてたら引きずり込まれそうだ、
怖いのでミリーナさんの後ろをぴったりとついていく、みんな縦一列に。
「……よし、まず最初はこのあたりで良いだろう、
本当にもしものことがあったら守りきれないと困る」
「慎重ですね」「まだそちらの手を見ていないからな」「魔石は屍骸ごと回収しました」
ここまで十数体くらいアイテムボックスへ入れていたかなナオミさん、
これで多分、とりあえず最初のドーナツ人数分くらいにはなっただろう、
ミリーナさんが周囲を警戒している間にナオミさんが白く大きな丸テーブルを召喚した、ついでに椅子も。
(そして主催席、金の椅子にはアンさんが座った)
あと白い椅子が2つ、
メイドのナオミさんは立ったままだとしても、
ミリーナさんの席が無いな、どうしようか、食器は人数分ある。
(それぞれ温かい紅茶が淹れられる)
足りない椅子どうしよう、
ミリーナさんに座って貰って僕はその膝の上とか?!
「なんだこれは」
「椅子はどうしましょう、ミリーナさんの分」
「待って来る」「えっ、って岩じゃないですか!」
転がして来ちゃった。
「では~、お茶会を~、始めましょ~~!!」
その言葉と同時に、
黒い影が周囲ににょっきり立ち上がって囲む!
「敵か?!」
「いえ味方です」
「これがか?!?!」「これがです」
さあ、これで一安心だ。
「では最初にコーンスープから」
うん、朝食と昼食の間のおやつタイム、開始かな??
「……ふむ、美味しいが量が」
「ミリーナさん朝食にドーナツ12個食べてきたんですよね」
「もう随分前だぞ」「朝食ですよね」「朝食だが」「ではミリーナ様にはこちらを」
おお、大きなスープが!
「これは何だ」「汁そばです、フォークでどうぞ」
「器のまま飲んで良いか」「ご自由に」「では失礼」
おお、凄い飲みっぷり!
「……美味いな、身体が芯から温まる」
良い匂い、
僕もちょっと食べたいかも?!
そして周囲では魔物が影兵に倒される。
「ナオミさん、この黒い兵士も」
「ええ、異世界の様々な」「強いな」
「わかるんですかミリーナさん」「当然だ」
さあ、ここからはお茶会するだけで敵がどんどん倒されて行く、簡単なお仕事だ!!




