第17話 真夜中の侵入者☆ただし身内!
(ううう~~~ん……なんだか良い匂いが)
ベッドで眠って結構な時間が経っているはずなんだけど、
なぜか良い匂いがしてきている、なんの香水だろうか、いつのまに、
こういう高級な宿では夜中にこういうのを流すサービスでもあるんだろうか?
「ん~~、チップは朝まで待って……」
寝返りを打つと、
より香りが強くなる……
目を開けると暗がりの中、これ、誰か居る?!
「ジャック様~」
「ちょ、アンさんなんで、なぜ」
「お風呂あがって~、添い寝に参りました~」
いやいや不味いって!
思わず反対側に寝返りを打つと……!!
「ジャックさまぁ~」
「うおっ、ベティちゃんまで?!」
「寂しいかと思いましてぇ~、添い寝ですぅ~」
二人して何やってるんだよう。
「ええっと、婚姻前にそんなことは」
「あくまで~、横で見守るだけですよ~、隣で~」
「お気にせずぅ、御遠慮なくぅ、お眠りくださぁ~い」「寝れるかー!!」
近い近い、
ずいずいと迫ってきてる!
これ左右から抱きつかれそうだ。
「では~、髪を撫でてさしあげましょ~」
「頭をヨシヨシしてぇ、眠り易いよぅにぃ~」
「……さてお風呂に入ってくるかな」「ん~」「あぁ~」
(よし、脱出っと)
そんな残念そうな声を出さなくても……
ちょっと迷ったのちお風呂場を発見した、
脱衣所に入って魔石灯をつける、うん、明るい。
「お待ちしておりました」
「ひっ?! ナオミさん!!」
「お世話させて頂きますね」「ずっと待ってたんですか?!?!」
真っ暗な脱衣所で!!
「脱がせてさしあげましょうか」
「いいから、もう15歳なんだからあ!!」
「しかしお嬢様の旦那様になられる方で」
少し隠れながら脱ぐ、
いくら母親みたいな年齢のメイドさん相手でも、
やはり恥ずかしいものは恥ずかしい、真面目におすまし顔をされても!
(ていうか、冒険者になってもメイドなんだよなあ)
もはや呪いか何かなのか。
「ナオミさんって、今後もメイドなんだよね、アンさんの」
「はい、生涯」「休みは」「私の人生が姫の、いえお嬢様のメイドなので」
「それって疲れない?」「職業メイド、趣味メイド、休日の使い道はメイドですので」
逆にアンさんに一日休めって言われたら、どうするんだろうか。
「さてと、じゃあ湯船へ行くから」
「入る前に身体を洗わせていただきますね」
「で、でも」「この後、私も入るので」「あ、なら仕方ないか、ってええ?!」
ずっと僕が入るのを待ってたから、
自分は入らなかったのか、じゃあ朝にしてたら徹夜だったな、
そこまでしなくても……いやほんと、命令したら何でもやってくれそうで、怖い。
(ま、とりあえず背中だけ、素直に洗われておくか)
ということで湯船の横で座り、
まずは掛け湯をして貰うことに。
ざばぁーーー……
「ふう、いやアンさんベティちゃんが添い寝に来て大変だったよ」
「寂しいのかも知れませんね」「あー、公爵家や村を追い出されて」
「あとジャック様が寂しくないように」「そのあたりはまあ、家を出されるのは、わかってたから」
あっ、頭を洗ってくれるみたいだ、
目を閉じていよう、うん、心地よい感じ。
「おふたりは、婚約者としていかがですか?」
「かわいいよね、美人系かわいい元公爵令嬢と、
やさしい系かわいい聖女様、ゆるゆるふわふわで冒険者に見えないけど」
どっちかというと護衛される側だ。
「もっと、剣や杖を使ういかにも冒険者な感じで行きたいのでしょうか」
「そうは言っても、出来ないんでしょう?」「雇う手もあります」「いやいや」
「ではやはりお茶会で」「あの召喚魔法、結局なんなの」「異世界の英雄やヒロインを呼んで戦わせています、影だけですが」
そんな召喚術なんだ。
「強いよね」「主催席の方が持つ能力に比例して、ですのでベティ様が座ると光魔法を」
「僕が座るとどうなるの」「試してみましょう」「明日あたりね」「ではお身体を洗います」
「ちょ、まだ頭が、髪を洗うのがが途中で、目が開けられないんだけど!」「その隙にです」「や、やめ、ひやああああ」
結局、隅々まで丁寧に綺麗に洗われてしまった……
そして頭から仕上げの湯をかけられ、ようやくお風呂の中へ。
「失礼致しました」
「う、うん、ってこのお湯、良い匂いですね、あっこれ」
「入浴剤です、アンお嬢様とベティ様が入れてらっしゃいました」
この匂いだったかあ。
「……こんな贅沢も、当分無いかな」
「明日、沢山稼げば」「でも浪費はしたくないよ」
「でもアジトは必要では」「王都にね、そのおすすめの場所、見るだけは見るよ」
とはいえ王都は遠い。
「冒険者は野宿もするそうです」
「僕らだとキッチンカーで泊まるのかあ」
「深い森や山の上では、テントを」「あるの?」「はい、ノベルティが」「???」
ノベルティってなんだろう。
「さて、私も一緒に入浴を」「却下!!」
結局、お風呂あがりにミルクを貰って飲んだのち、
元のベッドには戻らず空いているベッドで眠りました。
(明日はいよいよ、ちゃんとした冒険者活動だ!!)




