28、海物語
ここはスナック。美香のいるスナックだ。美香とアキラと修人、三人で飲む。
「で?で?どうなったの?それから?」
カランとグラスの氷が鳴る。
「で?清美ちゃんて可愛いの?」
「今じゃないでしょ!そこは!」
「今じゃないでしょ!って○先生の逆行ってんなー・・・」
隣の席のカラオケがうるさい。
「もーう!皆んなバラバラに喋んないでよ!海生君よ!どうなったの!それから?」
「あぁ、ヤツは始め、信じなかった。碧海の幽霊の事を・・・」
「でしょうねー」
「だよなー、普通、」
「でも、碧海が話す内容がさ、あまりに詳しいモンだからさ、いろいろ質問とかして来てさ、で、碧海が詳しく答えると、だんだん信じ始めたんだよ。碧海の存在をさ・・・」
「マジで、碧海なのか?」
…うん…
「こんなことって・・・」
…私も始め、ビックリした…
「そうか・・・」
…海生君、…
「ん?」
…私のお父さんの想い、継いでくれたんだね…
「あぁ・・・」
…ありがとう、…
「何なに?お父さんの想いってなに?」
美香は修人の胸ぐらを掴んで離さない。
「オイオイ、落ち着けよ。あのな、実はな、碧海のお父さんは、ライフセーバーだったんだよ。実は碧海が海で溺れた時、お父さんはそのビーチのライフセーバーで、碧海が溺れる直前に、別の場所でも救助を必要としている人がいて、お父さんはそこに向かった。救助活動を終え戻ってきた時にはもう、碧海は・・・」
「え?・・・そんな・・・」
「マジかよ・・・」
「まだ続きがある。碧海ん家と海生ん家は近所でさ、家族ぐるみの付き合いでさ、その日のビーチも二家族一緒に行ってた」
「え?って事は?」
「マジかよ・・・」
「あぁ、碧海と海生は、一緒に、泳いで、たんだ。碧海は、海生の、目の前で、・・・溺死した」
美香は思わず口を抑える。
アキラも俯き首を振った。
「碧海のお父さんは悔し涙を流しながら、海生に言った。『ライフセーバーになってくれ。海難事故なんて、絶対に起きてはならないんだ!』海生は泣きながら誓った。『はい』と、」
美香の瞳から涙が・・・。
アキラも項垂れている。
…海生君、あの木、覚えてる?…
「あぁ、忘れる、もんか、」
…木の陰で、キス、したよね、嬉しかったよ…
「あぁ、・・・俺も、」
…本当?…
碧海は意地悪く海生を見た。
「本当さ。・・・あの木、もう、ないんだ」
…え?…
「新校舎に建て替えられてさ、あの木も撤去された」
…そう・・・…
「見に行ったんだよ。撤去工事。枝も切られてさ、行かなきゃ良かったよ。アレ思い出すたび、泣けてくる」
「海生は碧海のお父さんの想いを継いだんだよ。ライフセーバーになった。俺見たけど、スゲー数の資格だった。あの資格見たとき、皆んなの、想いが、スゲー、伝わってきたよ」
「すごい人ね、海生君て」
「あぁ」
「最後に碧海はこう言った」
…もう、誰も、死なないで、…




