24、望月教授
入学して一週間、そろそろ本気で碧海の想いを叶えてやらないと、そう思い始めた修人は碧海に聞いた。
…なぁ、奴の名前、なんだっけ?…
…海生。佐藤海生、教育学部の四年生よ…
…そうか。で、どうやって探す?…
…アクアマリン・サークル、それを探すの…
…ふーん、分かった…
誰かに聞けば良い。そのサークルの部屋を。片っ端から聴いて回るか?と声をかけまくる修人。だが、誰にでも声をかけるわけではない。綺麗な女子にのみ、声をかけるのだ。
「・・・知らないっすか。そっか、じゃあ、軽くお茶でもしませんか?」
玉砕しまくる、修人・・・。
…お!美人発見!…
…ちょっと、真面目に探して下さい!…
…了ー解!…
「あのー、すみません、アクアマリンて、・・・!!!」
「あら!あなた、十万円君じゃないの!」
美女の前歯は、・・・欠けていた。
「ちょうど良かった、少し、付き合ってくれる?」
「・・・・・」
望月教授の車に乗り、連行される修人。日が暮れても走り続ける車。一体どこへ?
着いたのは、海岸。夜の海岸。美人の教授が微笑みかける。歯も欠ける・・・。
「あのー、どうして、その歯、放置してんすか?」
「あなた、レディーには、もそっと、気を使いなさい。・・・私って、美人でしょ?」
「・・・へ?」
「歯が揃ってたら、男が群がるのよ。ウザイの。研究の邪魔よ」
長い黒髪が風に靡く。歯が、欠けた部分に風が吹き込み、ヒューヒューいってる。
「なるほど!」
物凄い、説得力だ。
「でも、教授、何故、占いを?」
「アレも研究。怪しすぎる雰囲気の中、人は何を語り、何を望むのか?」
「じゃあ、イカサマって事?」
「あら!あらら!あらららら!ち、違うわよ!」
教授は、メンソールのタバコを取り出し欠けた歯に、ハメた。
「吸いやすいの。これ、」
「へー」
「私ね、昔から、見えるのよ。不思議な、モノが。皆んな見えてると、思ってた。私だけって気づいたのは、十歳の頃。そこからね、勉強し出したのは。たどり着いたのが心理学。気づいたら、ハマってた。気づいたら、教授になってた・・・」
教授は微笑みかける。歯も・・・。
「あなたが大学に入った理由、知ってるわ。そこにいる娘のためよね?」
「見えるんすか?」
「もちろん望月!」
「え?」
「その娘は知ってる」
「え?」
「結末を・・・」
「・・・・・」
「それで、いいのよ。それが、正解よ、」
その、夜の海岸での話は、修人には、理解、出来なかった。




