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突入!ルクスブルグ城(5)

俺は剣を振るう時、魔力を篭めてその威力を上げてるが、剣に篭められる魔力の量というのは決まっている。


もし、その総量を超える魔力を篭めようとしても、余剰の魔力は流れ出して意味は無くなる。コップにいくら水を注いでも、その容量以上に水が淹れられないのと同じだ。


このオーキの父、ウィンリッヒが用意してくれた『鞘』は、言うなればそのコップの容量を擬似的に大きくしてくれる物であり、より多くの魔力を篭めた斬撃を放つ事が出来る様にするのだ。


こうして抜剣と同時に鞘の魔力を上乗せする事で、放たれた威力は桁違いに跳ね上がる。


ハマドウを両断し、その後ろの壁は完全に吹き飛ばされて無くなっていた。


「残念だよ、交渉は決裂みたいだね」


両断された筈のハマドウが、余裕綽々とした様子で喋っている。


斬撃はハマドウの身体を擦り抜けていた。しかし、『その絡繰りを知っている』俺は、その事に特に疑問は思っていなかった。


「…この剣は、俺の仲間と、その大事な人達の思いが詰まってる大切な剣なんだ。悪いが、お前の頼みでも譲れない」


「ふーん、そうか。まぁいいか」


ハマドウはそう言うと、ルクスブルグ王の肩に手を置いた。


「貴様、何故あんな事を…!!」


「軽い冗談だよ。そう怒らないでよ」


怒りの眼差しを向けるルクスブルグ王に対し、ハマドウはシニカルな笑みを浮かべながら返す。


「それじゃあ、僕はもう行くね。君は早く仲間の下に急いだ方が良い、何故なら…」


ハマドウがそう言うと、どこかで大きな破壊音が聞こえた。


「僕の『作品』が、君の仲間の下に向かってるからね…」


「!!? ディン…!!」


「それじゃあ、またねクウゴ」


「待てっ!!」


俺はハマドウに向かって跳び、一刀を繰り出した。


その一刀は、ハマドウの身体を擦り抜ける。そして、すかさずもう一刀繰り出した。


(…くっ!!)


「おっと」


しかし、俺の刃が届く前に、突如俺の目の前で光が爆ぜた。


「ぐああああっ!!!!!」


俺の身体に電気が流れ、全身を駆け巡った。ハマドウの放った雷の魔術だ。俺は吹っ飛ばされ、床に転がされた。


「残念だったね。『躊躇わなければ』君の剣が先に届いてたのにね。じゃあね」


ハマドウはそう言って、ルクスブルグ王と共に転移魔術らしき術で跳んでいった。


身体の痺れが消え、俺はその身体を起こした。そして、


「くそっ…!!」


斬ると決めたのに、俺は躊躇ってしまった。自身の不甲斐なさが悔しくて、床を殴り付けた。





「はぁ…はぁ…くそっ!!」


思わぬ苦戦、我は予想以上に深傷を負ってしまった。その負傷を押して、片膝付いた身体を起こそうとする。


保管部屋の同胞達を弔った後、我は『落とし前』として城の人間共を始末して回っていた。


そんな時、その『敵』は突如我の前に現れた。


「まさか…ここまでやるとはな…」


先程、深く斬られた左肩の傷を手で押さえながら、その眼前の『敵』を睨みつける。


「うあ…あ…」


亡者の如き呻き声を上げ、何も着ていない上半身に見える勇者紋(ブレイヴサイン)、そして我を苦戦させるこの強さ。


恐らくあれが、オーキの言っていた強化された勇者なのだろう。


「上手く行ってないのでは無かったのか、あの小童が…!!」


話が違うと言わんばかりに、我はそう吐き捨てた。

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