突入!ルクスブルグ城(2)
「捕まってるって…どういう事だよ!?」
「何か日中、城の兵士達が騒いでてな。それで話を聞いてみたら「市民の通報で魔族が街に潜んでるって聴いて、それで一人捕らえた」って話してたんだ。もしかしてお前等じゃねぇかって確認しに行ったら、その角が生えた目の黒い魔族だったから、恐らく…」
「間違いない、フラクタさんだ…!!」
「…ちっ」
オーキの話を聞き、ディンが舌打ちをする。
「このままじゃ、そのフラクタって魔族も強化パーツ行きだろーよ。どうする?」
「助けるに決まってるだろ。案内してくれ」
「オーケー、付いて来てくれ」
そう言ってオーキは、部屋のドアを開けた。
こうしてオーキの案内の下、俺達はフラクタの捕らえられている牢屋に向かった。
「…いたぞ、あそこだ」
物陰からフラクタの居るという牢屋を見ながら、オーキが小さく囁いた。
俺達の前で見せた、『見せ掛け』の魔術を解いた時の姿そのままであり、捕らえているのは、間違いなくフラクタであった。
牢屋の前には、見張りの兵士が二人居た。それを見て、オーキは一考してから口を開いた。
「よし、じゃあ俺があの兵士に話しかけて引き付けとくから、その隙に…」
と、言い切る前にディンが物陰から飛び出して、
「魔王権能…刻め!!」
と、兵士達向けて権能を行使した。
「ちょ…おまっ!!」
数秒後の凄惨な光景を予測し、俺は手でソニアの眼を塞いだ。
刹那、兵士達は瞬く間に粉微塵に切り刻まれ、己が死んだ事すらも気付かぬ内に絶命した。辺り一面に、その命の破片を撒き散らして。
「時間の無駄だ、さっさと連れ出すぞ」
そう言ってディンは、散らばった兵士達の肉片にも意に介さず、牢屋の前へ歩いて行く。
「お前な…」
俺もぼやきながら、そのディンに続いて牢屋の前に来た。
牢屋の中には、兵士達の凄惨な死を目の当たりにした為か、怯えた表情のフラクタが縮こまって座っていた。
「おい」
ディンがフラクタに向けて言うと、フラクタはゆっくりと顔を上げた。
「貴女達は…!?」
俺とディンの姿を見て、フラクタも俺達が昼間に会った者だと気付いた様だ。
「フラクタさん、ここから出ましょう!!」
俺はそう言うと、イリスで牢屋の鍵を破壊して、鉄格子の戸を開けた。
「貴様等!! 何をしている!!」
離れた場所で兵士が声を上げ、俺達は一斉にそちらに振り返った。
「やべぇ!! もう一人居たのか!!?」
オーキは咄嗟に魔弾を一発放つ。しかし、咄嗟に撃った為か狙いは外れ、兵士の肩を穿ったのみで、絶命させるには至らなかった。
「侵入者だ!! 出会え出会え!!」
兵士が肩の傷を抑えながら叫ぶ。城の警報が鳴り出し、遠くから多くの足音が聞こえてくる。間もなくここに兵士達が来るだろう。
「オーキ!! お前はみんな連れてさっきの魔方陣で転移しろ!!」
「おいクウゴ!? お前は…!?」
「俺にはやる事がある…先に逃げててくれ」
「奇遇だな…我もまだやる事がある」
ディンもそう言って俺の横に立った。
「いやでも、魔力がもう…」
「絞り出せ!! 男だろ!!」
躊躇するオーキに対し、ディンが怒鳴りつけ、オーキは渋々と魔方陣シートを広げた。
「わかったよ、やってみるよ…けど、魔方陣シートちゃんと回収しとけよ」
オーキはそう言って魔方陣を起動。苦悶の表情を浮かべながらオーキは、自身とフラクタとソニアを連れて跳んだ。
「魔王権能…燃えろ」
オーキ達が跳んだのを確認すると、ディンが突然権能を使って、魔方陣シートを燃やした。
「…え? 何で燃やした?」
「? こうすれば、奴らがこれを使って小童共を追ってくる事も無いだろう。回収とはそう言う事だろ?」
俺の問いに対し、ディンが何言ってんだコイツはみたいな表情でそう返してきた。
「いや…絶対そう言う事じゃないと思う、何か貴重な素材使ってたって言ってたし…」
後でオーキにどやされそうだな。と思っていると、兵士達が俺らの目の前に集まってきた。
「来たか…行くぞ!!」
「我に指図するな!!」
俺とディンは兵士達に向かって、地を蹴った。




