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潜入!ルクスブルグ(5)

「…」


夕暮れ時、宿屋に併設されたレストランにて、俺とディンはそこで食事を摂っていた。


「…」


ディンは、あれからずっと無口だった。


ウェイトレスに注文する時以外は全く口を開かず、ただ不機嫌な表情で無言を貫いていた。


「はぁ…」


思わず溜息が漏れた。余程フラクタの件が気に障った様だ。俺はどう言葉を掛ければいいかと、頭を抱えて悩んでいた。


「…あそこに居るの、竜操手(テイマー)の小娘ではないか?」


俺がそうして悩んでいると、何とディンの方から口を開いたのだった。


ディンの視線の先に目をやると、その視線の先にあった窓の外には、確かにソニアの姿があった。


まるで何かを探すかの様に、辺りをキョロキョロしている様だった。


「…ちょっと行ってくる」


俺は席を離れ、ソニアの下に向かった。


「あ!! クウゴさーん!!」


宿屋を出てきた俺の姿に気付いたソニアが、此方に駆け寄ってきた。


「ソニア、どうしたんだ? 向こうで何かあったのか?」


「大変なんです!! 凄い物を見つけたからクウゴさん達に伝えろってオーキさんが…!!」


「凄い物?」


「それが…」





ルクスブルグ城の、とある一室にて、そこに鎮座されている物を見て、俺は深く息をついた。


俺達の目的の一つに、ルクスブルグが魔族との繋がりがあるという証拠を見つける事があった。


俺はその、魔族との繋がりの証拠を目撃していた。しかし、


「…期待してたのは、こういう繋がりでは、無かったんだけどなぁ…」


俺の眼前には、円筒形のガラスケースが無数に並べられていた。


そして、そのガラスケースには、何故か死亡後も霧散せずに残っている魔族の死体が収められていた。


この部屋は、ルクスブルグの研究サンプルの保管部屋。


ルクスブルグは、魔族を実験材料としていたのだ。





「ふざけた国だ…!!」


ソニアから話を聞いて、ディンは激昂して机を叩いた。


「こんな国、今すぐにでも焼いてやろうか…!!」


ディンはそう言って、右手に魔力を溜めてみせた。


「落ち着けディン!! 周りの人間に聞こえてる!!」


ディンの声を聞いて、周囲の人間が響めいている。それを見て、ディンは右手を下ろした。


「ちっ…!!」


「…それでソニア、オーキは他に何か言ってたか?」


「あ、はい。今日の夜、クウゴさん達と落ち合いたいから、これをと…」


ソニアがそう言って、メモの様な物を取り出した。


それを見てみると、落ち合う場所と時刻が記載されていた。


「…わかった。じゃあこの時間にこの場所に来れば良いんだな?」


「はい、お待ちしてます」


「…ディンもそれで良いな?」


「…ふん!!」


「それじゃあ、私はまた戻りますね」


ソニアはそう言うと席を立ち、宿屋の外へ出て行った。


「…にしても、魔族の死体が消えずに残るなんて事、可能なのか?」


普通魔族は、死亡後はその遺体は黒い霧となって消滅する。


なので、魔族が肉体を残したまま死ぬ事など聞いたことも無かった。


「そんな事どうでもいい、奴らは我々魔族の尊厳を踏み躙った…!! これだから人間は…!!


忌々しげに吐き捨てるディン。その双眸には、真っ黒い憎悪を燃え滾らせていた。


「ディン…」


そうして、俺達がルクスブルグ城に潜入を決行する夜を待った。

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