力を求めて(4)
次の日、俺達はエルーシャとグラナを周り、それぞれの王にアイオーン復興の支援の相談に行っていた。
しかし、どちらも現状表立っての支援は難しいとの事であった。
世間体的には今、アイオーンは魔族との繋がりがあるとされ、ルクスブルグがそんなアイオーンに睨みを効かせている現状、もしアイオーンを支援すれば自国が狙われかねない。リタ王女もそれは望んでいないだろう。
しかし、両王共にこのまま見過ごせないとの事で、一考してはくれるとの事だった。
そして、エルーシャに行っていた時の事。エルーシャ王と謁見している時に強い剣について何か情報が無いかと相談をしたのだが、そこに、
「ほお、強い剣をお探しですか…でしたら、『ヴォルカ』で探しては如何でしょうか?」
騎士団長のギデオンが反応し、話し始めた。
ヴォルカとは、エルーシャ領内にある街であり、ギデオンの話によるとそこでは腕利きの鍛冶士が多くいるとの事。
ギデオンもこの街で自身の剣を製作して貰ったそうで、確かにその腰の剣は素人目で見ても良さげな物だと思い、俺がその事に言及すると、
「流石クウゴ殿お目が高い!この剣はそのヴォルカの中でも特に優れたソードスミスの一人であるマグヌス・バルカンが打った一振りでして、上質な玉鋼を独自の製法で仕上げ、更にはそれを高名な魔術士による特殊な魔術処理によって耐魔術性能も付与された、素晴らしい逸品でして、製作の予約は何と3年待ちで…」
「ギーデ、おいギーデ!!」
と、その剣の素晴らしさを、エルーシャ王が止めに入るまで長々と喋り続けた。
こうして俺達は、ギデオンの勧めもあって、その鍛冶の街ヴォルカへ行くことにした。
エルーシャからヴォルカへ、リインに乗って移動中、オーキが口を開いた。
「そういや思ったんだけどさ、クウゴって100年前の時はどんな剣使ってたんだ?なんか、伝説の剣とか王家に伝わるみたいなのとか、使ってたのか?」
「あ、私もその話気になります!」
ソニアも食いついてきた。そして、ディンも気になったのかこちらに視線を向けたきた。
「確かに気になるな。我が魔剣と打ち合える程の剣だ、余程の業物であったに違いない」
皆が期待の眼差しでこちらを見てきた。そして俺は、
「…いや、特には」
と、キッパリと答えた。
「は?」
それを聞いた皆の口から、素っ頓狂な声が上がった。
いや、本当に何も無いのだ。あの時は城から支給された只の店売りの剣を使っていて、損耗が酷くなってきたら同じ物を買い換える、という事を繰り返していた。
それで特に困らなかった為、最終決戦のあの時まで、俺は店売りの剣で戦っていたのだ。
「ふざけるなぁ!!貴様、じゃあ我は店売りの剣に負けたというのか!!」
激昂したディンが食ってかかったきた。それを見てオーキが嗤う。
「ハッハッハッ!!店売りの剣に負ける魔剣とか、とんだ嗤い話だなぁ!!」
「すごいです、クウゴさん!!」
ソニアも俺に尊敬の眼差しを向けている。涙目になっていたディンがあまりにも不憫に思い、俺はフォローしようと口を開いた。
「いや、あの時魔剣は特に破損とかはしなかったから、別に魔剣が負けた訳じゃ…」
「それでは我が弱かったから負けたみたいだろうが貴様ぁ!!」
ディンは更に激昂した。
「まぁこれで、クウゴが新しい剣を手に入れたら、そこの没落魔王には絶対負けないって事だな」
オーキがそう言ってカラカラと嗤う。それを聞いてディンが唸り声を上げた。
「くそ…力さえ戻れば貴様など…」
「そう言えば、ディンって今あの時の1/10しか力が無いんだったよな?戻るのか?」
俺はふと思った疑問を投げ掛けてみた。
「すぐには戻らん。しかし、ゆっくりとではあるが少しずつ戻りつつある。今は大体2割程だな」
「成る程、じゃあ今は1/5グランディンって訳か、ハハハ」
「その呼び方止めろ貴様ぁ!!」
ディンが嗤うオーキに食ってかかり、俺がそれを制止した。
そんなやり取りをしてる内に、俺達はヴォルカに到着した。




