アイオーン解放戦(2)
アイオーン城上空にて、俺達を乗せたリインは、城の真上を旋回していた。
今回、俺とディンが乗り込んだ後は、ソニアにはすぐ帰還して貰う。戦闘には参加するなと伝えていた。
今回の相手は人間だ。魔物と相手にするのとは訳が違う。それも、グラナの時とは違い勇者という強者が混じっている。殺さないように手加減などしてる余裕は無いだろう。必ず、殺人を覚悟しなければならない時が出てくる筈だ。
俺はソニアに人を殺して欲しくは無い。手を汚すのは、俺1人で充分だ。
「よし、じゃあ行くぞ」
俺は腰の剣を抜き、いつでも飛び降りれる様に身構えた。
隣のディンも、これからの闘いに心躍らせていると言わんばかりに、不適な笑みを浮かべている。因みに、首輪の抑制は解除済だ。
「いいか、倒すのはルクスブルグの兵士と勇者だけだ…それ以外の人には手を出すなよ」
俺がそう釘を刺すと、ディンはフンと鼻を鳴らした。
「構わん、元より我は勇者以外に興味は無い。残りは貴様にくれてやるわ」
そう言ってディンはリインから飛び降り、
「あ、おいっ!!」
「魔王権能…爆ぜろ!!」
城の屋根を吹き飛ばし、そのままその中に飛び込んだ。
「さぁ出て来い勇者よ!!」
そう言ってディンが城の奥へと消えていった。
「全く…」
俺はそれに付いて行こうとして、飛び降りようとする。
「クウゴさん…」
そこで、ソニアに呼び止められた。そして、ソニアが後ろから抱き付いてきた。
「ソニア…?」
「ごめんなさい。何となく、こうしたかったんです。クウゴさん、なんだかとっても哀しそうで、痛そうだったから…」
「…」
「私の所為、ですよね… あんな事言っちゃって、クウゴさんが、今までどれだけ頑張ってきたか、碌に知りもしないで、だから…」
「…ありがとう、ソニア」
俺がそう言うと、ソニアは俺の背中から離れ、笑顔でガッツポーズをしてみせた。
「行ってらっしゃい。偽物の勇者なんてやっつけて、クウゴさんが本物の勇者だって見せつけて下さい!!」
「ああ!!任せてくれ!!」
俺はそう言うと、リインから飛び降りて、城の中に入り、ディンの後を追った。
「くそ、あいつどこ行ったんだ?」
俺はキョロキョロと城内を見回しながら駆けていた。辺りにはルクスブルグの兵士らしき死体が、そこら中に転がっていた。が、今の所勇者らしき者の死体はどこにも見られない。
すると、巨大な爆発音が城内に響く。方角は、城の中庭の方だ。
中庭を見下ろせる窓から覗くと、そこにはディンが、兵士達と戦っていた。
「どこだぁ!!勇者ぁ!!出て来い!!」
吼えながらバッタバッタと兵士達を薙ぎ倒していく。あれなら放置で大丈夫だろう。
そんな時だった。
「なんだぁ?もう一人いるぞ?」
少し離れた場所から声が聞こえた。俺はその声の方に振り向く。
そこには、鎧姿の数人の少年少女達が立っていた。年齢は多少差異はありそうだが、皆俺とそんなに離れていない様に見える。
そして、皆その首には見覚えのある首輪が着けられていた。間違いない、あの首輪は俺も着けられた事あるルクスブルグ王の隷属の首輪。
彼らは、ルクスブルグ王に召喚された勇者達だ。




