アイオーン解放戦(1)
数日前、ルクスブルグ王国の宣戦布告により、ルクスブルグとアイオーンの戦争となった。
しかし、その決着はすぐについた。
五大国最強と名高い武力を誇るアイオーンは、ルクスブルグより召喚された『30人の勇者』によって討ち破られたのだ。
その力は圧倒的であり、アイオーンは為す術なく、只その力によって蹂躙されていった。
そして、アイオーン城も攻め落とされ陥落。アイオーン王族は、逃げ延びた一人の王女を除いて殺害されたのだった。
これが俺が助けた女性、アイオーン王国第一王女であるリタ・アイオーンから聞いた、アイオーン王国侵略の顛末であった。
(まさか、俺が助けたこの人が王女だったとはな…)
「…」
オーキが用意した椅子に座るリタ王女。その表情は未だ怒りが見え、勇者である俺に刺すような視線を送っていた。
「30人の勇者…クウゴ、これって…」
「多分、俺が失踪した後にルクスブルグが召喚の儀で新たに喚び寄せたんだと思う…それにしても、30人も喚んでくるとはな」
「お前みたいなのが30人かあ、アイオーンが負けるのも納得だわ」
オーキが腕を組み、うんうんと納得した様に首を振っている。それを尻目に、俺はリタ王女に質問した。
「リタ王女、ルクスブルグの言い分はアイオーンが魔族と繋がりがあるとの事らしいのですが、何かご存…」
「そんなの出鱈目よ!!」
俺が言い終わる前に、リタ王女が声を上げた。
「ルクスブルグは侵略の口実としてでっち上げたデマよ!!有りもしない被害を上げて、最初からアイオーンを乗っ取るつもりだったんだわ!!」
「マジかよ…心底腐ってんなルクスブルグ…」
そう言ってオーキが、汚物でも見たかの様な表情を浮かべた。
俺も同意見だ。魔族の侵攻があちこちで起きてる様なこんな情勢の時に、人間同士で潰し合うなど愚の骨頂だ。いや、そうでなくとも、やり方が余りにも悪辣であり、『勇者』を侵略の道具としている点も反吐が出そうだった。
「じゃあ、アイオーンが魔族と関わりがあったというのは、全くのデマ…という事ですか?」
「ええ、本当に許せないわ…!!」
「…分かりました。オーキ」
「ん?」
「ソニアはもうこっちに帰ってきてるか?」
「ああ、多分平屋の方に居ると…まさかお前」
オーキがそう言うと、俺が頷いた。
「これから、アイオーン城に乗り込む」
「いや、ちょっと待て。まだ俺の準備が…」
「大丈夫だ。ソニアに送って貰って俺1人で乗り込む」
「いやいくら何でも無茶だろ、お前みたいなのが30人居るかも知れないんだぞ?流石に…」
「なら、我も行こう」
俺達が声がした方向に向くと、そこには腕を組んで立っていたディンがいた。
「我が同行すれば問題無かろう。もしもの時は帰還魔術とやらがあるんだろ?発動までの時間稼ぎは出来る筈だ」
「確かにそうだが…はぁ、わかったよ」
オーキが折れたと言わんばかりに、深く溜息をついた。
こうして、俺とディンはこれからアイオーン城へと乗り込む事になった。




