エルーシャ防衛戦(5)
次の日の朝、俺達は再び謁見の間に集まっていた。
そして、昨日俺が言おうとしていた事を、エルーシャ王に伝えた。
それを聞いたエルーシャ王は驚愕し、周りの兵士達の間でも響めきが聞こえてきた。
「成る程…、確かにそれは、何かあるかも知れないな」
「思えば…セレニア滅亡、そこからルクスブルグの勇者召喚、この一連の流れが明らかに不自然過ぎます。そして…、魔族側はルクスブルグが召喚する事まで知っていたとなると…」
「ルクスブルグが、セレニア侵攻に一枚噛んでいるって事か? しかも、魔族側と結託してまで…まぁ、確かに有り得ない話ではないな…」
オーキがそう言うと、謁見の間にいる人間が全員、オーキに視線を向けた。それに対しオーキがギョッとする。
「しかし…まだ確証できる証拠も無い。とは言え、警戒はしておくべきだな…」
「はい、お願いします陛下」
「さて…クウゴ君、君は魔王グランディンについての情報を集めていると聞いている」
「!! 何か、知ってるんですか?」
「いや、残念ながら、特にグランディンについての情報は何も知らない、済まないね…」
「そう、ですか…」
「しかし、関係あるのかわからないが、妙な情報が一つ…」
「え…?」
「五大国の一つである、グラナの人間だけが『消失』した、と報告が入った」
「!!」
俺はその言葉に、耳を疑った。
エルーシャ王の話ではこうだ。以前から交流があり、魔族侵攻が始まってからも定期的に連絡を取り合っていたグラナと、数週間前から全く連絡が全く取れなくなり、何かあったのかとエルーシャから使者を送った。
そしたら、グラナの国の中の人間だけが、姿を消していたと、報告があったそうだ。
その使者の話では、街中は争ったような形跡等は何も無く、ただ人間だけが消えていた、との事。
「わかりました。すぐに俺達も…」
「俺は反対だ」
オーキがそう言って、俺の言葉を遮った。
「明らかに何かある異変だ、無策で行くのは危険すぎる」
「だけど…!!」
「俺は昨日カードを使い切っちまった。どの道準備する必要がある。万全な状態で行けるように、準備の時間は必要だろ?」
「う…」
オーキの最もな正論に、俺は言葉が詰まる。
「クウゴ君、オーキ君の言う通りだ。焦る気持ちもわかるが、慎重に事に臨むべきだ」
「…はい、わかりました」
「それじゃあ陛下、俺達は一回自分達の拠点に戻ります。あの魔方陣ですが…」
「ああ。君の言う通り、あの部屋に残しておくよ。何かあったらすぐに来なさい」
昨日設置した魔方陣は、有事の際の為に残しておくべきであると、オーキが進言していた。
これで、もしエルーシャが魔族達に攻撃を受けても、すぐに飛んでいける。
「それじゃあクウゴ、頼んだ」
俺の肩を、オーキとソニアが掴む。そして、緊急帰還魔術を起動する為に、集中した。
「君達には本当に世話になった。ありがとう」
エルーシャ王がそう言うと、俺は小さく頭を下げ、拠点に向けて跳んだ。




