エルーシャ防衛戦(1)
城の兵士に案内された謁見の間にて、目の前のエルーシャ王に対して、俺とオーキが片膝を付き礼をする。
俺の隣にいたソニアはこういう場に慣れてないのか、俺達よりも少し遅れて、見様見真似で片膝を付いて礼をした。
「頭を上げなさい、楽にして構わない」
エルーシャ王がそう言うと、俺達は頭を上げて立ち上がった。
「君達の事はギデオンから聞いている。今回の助太刀、感謝するよ」
そう言って、エルーシャ王は気さくな笑みを浮かべた。
エルーシャ王は、一見すると国王としてはかなり若い様に感じた。その隣にいる、騎士団長ギデオンと同じくらいの年齢に見える。
「…さて、君達に色々訊きたい事がある。クウゴ君、君は召喚の儀で召喚されたと言っていたが、一体、誰が…?」
エルーシャ王の笑みが消え、謁見の間の空気が少し重くなる。
「…ルクスブルグです」
「!!」
それを訊いたエルーシャ王の目が一瞬見開く。その表情に、驚嘆の色が映った。
「そうか…やはり強行したんだな…」
エルーシャ王が眉間に皺を寄せながら、ポツリと言葉を洩らした。
「陛下は、知っておられたんですか?ルクスブルグが勇者召喚をしようしてた事を」
俺の疑問に対して、隣のギデオンが答えた。
「此度の世界情勢の悪化に託けて、ルクスブルグ王が勇者召喚の儀を行うべく、魔術士を集めて研究していたという情報は我々の耳にも入っていました」
ギデオンが言うと、それに補足する様にエルーシャ王が続けて言った。
「それに…魔族侵攻が始まる前に行われた五大国会議にて、有事の際の勇者召喚についての議題が上がったんだ。そこでルクスブルグ王は「勇者召喚の儀をセレニア王国だけが独占するべきではない」と。発言自体はセレニア王に撥ね除けられたが、あれからルクスブルグ王は、独自で召喚について研究してたんだろうな…」
そういえば、前にセレニア城にて、オーキも同じような事を言っていたのを思い出した。俺は視線をオーキに向けると、それに気付いたオーキが口を開いた。
「実は俺、ルクスブルグにその研究の為の客員魔術士としてスカウトされた事があったんだ。でもすぐ断った、まあまあ評判悪い国だからなぁ…」
それは初耳だった。だからルクスブルグの噂を知っていたのか、と俺は納得した。
(あれ…?)
ふと、俺は頭の中である事が引っ掛かる。確か、オーキに会う前に、どこかで…
(あ…)
思い出した。確か、ルクスブルグ王に飛ばされた東の森にて、遭遇した魔族がこう言っていた。
「最近、ルクスブルグが勇者召喚の儀を行おうとしていると耳にしたのでな。貴様、何か知らないか?」
「…」
魔族側にも、ルクスブルグが勇者召喚を行おうとしてるのが知れ渡っていた。
魔族侵攻以前から、勇者召喚の方法を求めていたルクスブルグ王。魔族侵攻で1番最初に攻め滅ぼされるセレニア。そして、その後ルクスブルグ王にて俺が召喚される。
それが、俺にはどうにも何かきな臭い感じがした。
「陛下、実は…」
話した方が良いと思い、俺が口を開いた。その時だった。
「陛下!!」
突如、謁見の間の門が開かれ、一人の兵士が入ってきた。
「見張りの兵士より報告が!!この国の西より進軍する魔族の軍勢らしきものが確認されたとの事です!!」
「何だと!?」
エルーシャ王が玉座より立ち上がる。
(そんな…!!こんなに早く増援が来るなんて…!!)
先程戦闘が終わり、エルーシャ側の戦力にも余裕が無いのは明白だ。
俺はオーキとソニアと交互に顔を合わせると、二人はは頷いた。
「陛下!!俺達も出ます!!」
そう言うと、俺達は謁見の間を飛び出した。




