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未来へ向けて(4)

数日後、人間と魔族の停戦協定締結の為の会談が開かれた。


それには俺とオーキも参加しており、人間側の各国代表者と魔族側の代表者達が話し合うのを見守っていた。


こうして、停戦協定は無事締結され、長らく続いていた人間と魔族の戦争は、漸く終わりを迎えたのだった。


そして、その後日。拠点の街のオーキの工房にて。


「どうだ? オーキ」


「ああ、大丈夫だ。ちゃんと帰す方法も記されてる、お前はちゃんと帰れるよ」


オーキはハマドウの工房から回収した召喚の儀の資料を読み、俺が元の世界に帰る方法を調べていた。


「三日時間をくれ。その間に帰還の方法を完璧に仕上げておくから」


「わかった、ありがとうオーキ」


「ハマドウと約束してたからな…そう言えば、話は変わるんだけど、ハマドウの工房からこんな物を見つけたんだ」


オーキはそう言って、ノートの様な物を俺に渡してきた。俺はそれを手に取ると、その表紙を見た。


「これは…?」


「ハマドウの研究ノートだ。これにはハマドウ…本物の方のな、お前が一度目の戦いで相討ちした後の半生が書かれていた…お前にも読んでやって欲しい」


俺はノートを開き、その内容を確認する。


そこには、友を死なせてしまったハマドウの絶望、その原因たる勇者召喚の儀を開発した事への後悔。


そして、俺を元の世界に帰す為、『死者を蘇生する技法』を編み出した事、それにより我が身を犠牲にした事が綴られていた。


何故俺があの時、魔王と相討って命を落としたにも拘わらず、元の世界に帰れたのかが漸くわかった。


ハマドウは、これに記された死者を蘇生する技法によって俺を生き返らせ、それで元の世界に帰したのだ。己の命を犠牲にして。


(ハマドウ…)


「…本物のハマドウの死因は病死ってのが公式の発表だったけど、病名は明かされて無かった…恐らく、本当の死因はこれだろうな」


「バカ野郎…それで自分が死ぬのは違うだろうが…!!」


俺は呟き、ハマドウに思いを馳せながら歯噛みしていると、オーキはこう言ってきた。


「それでよ…その…もし、もしなんだけどさ…この死者の蘇生する技法とやら、使えるとしたらお前、どうする?」


「!!」


「このノートの記述からして、ハマドウは死後大分経ったお前を生き返らせている。つまり…これを使えば、ソニアやディンも…」


「…」


オーキの提案を聞き、俺は暫し悩んだ。そして、ノートを閉じてこう答えた。


「…いや、やめておこう。そんな方法で蘇っても、二人は喜ばない。誰かを犠牲にする方法なんて…」


「…そうだな。悪ぃ、血迷った事言って…」


「いや、気持ちは俺も分かるから…」


俺だってそうだ。二人が生きてたらどんなに良かった事か。二人を死なせてしまった事は、とても残念でならない。


(ん…? 蘇生…? …!!)


そして、ふと俺はある事を思い出した。


「オーキ!! 行くぞ!!」


「はぁっ!!? 行くってどこに!!?」


俺が突然言うと、オーキはそれに驚きながら椅子から立ち上がった。


「ディンの所にだ!!」


「はぁっ!!?」





拠点の街の近くの森、その奥にある洞窟の中に、俺とオーキは来ていた。


「これは…」


「やっぱり…」


その大きく開けた場所の中央に、巨大な結晶が鎮座していた。


それを俺は知っていた。ディンが100年の時を経て復活した際、これと同じ結晶から出て来たのだ。


恐らく、この結晶もきっと、


「あの時のディンの最後の言葉、こういう事だったんだな」


『我は、未来に行ってくる』


「あのアホンディン…100年後じゃあ、文句の一つも言えねぇじゃねえか…!!」


オーキはそう言って苦笑した。

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