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決断(4)

ハマドウの言う通り、工房には勇者召喚の儀の資料があり、それを回収して俺達は一時セレスワイズ邸に跳んだ。


ハウレンの死を、剛剣隊の面々に伝えねばならない。


「オーキ!!」


セレスワイズ邸には既にウィンリッヒとラピス、剛剣隊の隊員達が集まっていた。


そして、剛剣隊達がディンの傍に駆け寄る。


「グランディン様…ハウレン副隊長は…?」


「…済まぬ、ハウレンは…」


ディンは歯噛みしながら、そう告げた。


「!! そう…ですか…」


「副隊長…!!」


剛剣隊達はハウレンの末路を察し、哀しみ、涙していた。


「親父!! グランディンの偽者を止めるのに失敗した!! このまま魔族達を止めないと最終戦争が起きちまう!!」


「…」


オーキのその言葉を聞いて、ウィンリッヒとラピスは只無言だった。


そして、ウィンリッヒはゆっくりと口を開いた。


「…たった今、大規模な魔族の軍勢が進軍してきて、三国が全戦力で迎え撃つべく集結してると報告があった…」


「は!? それって…!!」


「…ああ、戦争が…始まった」


「…くそっ!!」


間に合わなかった。人魔存亡を賭けた最終戦争が始まってしまった。


これでは、100年前の繰り返しだ。俺達は、また失敗したのだ。


「…クウゴ」


ディンが俺を呼んだ。俺は振り向くと、ディンは神妙な顔付きで、俺を見つめてきた。


「我は…『決断』しようと思う…この状況を作り出した『当事者』として…貴様は、どうだ?」


「ディン…」


ディンの言葉に、俺はその意図を何となく察した。そして、


「…考える事は、一緒みたいだな」


そう言って、小さく笑った。


「ふっ…それでは、行くぞクウゴ」


「お、おい!!? お前等どこに行く気だよ!!?」


意図を察せなかったオーキは、ディンの肩を掴み引き留めた。


「我とクウゴには、やる事がある…貴様はここに居ろ、小童」


「済まないオーキ…行ってくる」


「秘技・幻召魔身…」


ディンはフェレスを喚び、チャッピーを出した。そして俺ディンは、チャッピーに乗って戦場へ向かった。





「ギデオン騎士団長!! あれは…!!」


「うむ…」


隣の兵士が私に声を掛けながら、前方を指差した。私はそれを凝視しながら頷いた。


大軍勢の魔族達が、こちらに近付いてきていた。その規模は今までの侵攻の比では無かった。恐らく、魔族達の全戦力が集結してるのだろう。


そしてこちらも、エルーシャ、グラナ、アイオーンの三国が集結し、その全戦力で迎え撃とうとしていた。


(…結局、こうなってしまったか…)


これより、人間と魔族の、その両種の存亡を賭けた最後の戦いが今、始まる。


多くの血が流れ、多くの命がその戦場で散るだろう。その数秒後の未来を察し、我らの中で緊張が走った。


そして、その時は来た。


「掛かれぇぇぇ!!!!!」


その声と共に、両軍、目の前の敵に向け走り出した。間もなく、我らは激突する。


そして、その時だった。


空から、二つの影が、降ってきた。


(なんだ…!!? あれは!!?)


その影達が我らの間に着地すると、そこには大きく砂埃が舞い上がった。そして、


「魔王烈震(グラン・ゼロ)!!」


突然発生した衝撃波が、両軍の前方の兵士達を大きく弾き飛ばした。それにより、両軍の足は止まった。


「双方、武器を収めろ!! そして聞け!!」


声が聞こえた。声の方を見ると、そこには、


「我こそは魔王グランディン!! 魔の頂点にして、憎しみの連鎖を断ち切る魔王である!!」


携えた魔剣ジオ・グランディンを地に突き立て、魔族の軍勢に立ち塞がるディンがいた。更に、


「皆さん!! 俺達の話を聞いて下さい!!」


「クウゴ殿…!!?」


ディンと同じく、その剣を地に突き立て、人間側に立ち塞がるクウゴの姿がそこにあった。

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