白導対大魔術士(4)
「はぁっ…はぁっ…」
瓦礫の雨を掻い潜り、俺はどうにか持ち堪えた。しかし、
「くそっ…『威装』が…」
魔力が切れ、威装が維持出来なくなり、俺の纏っていた白炎が消えた。
「うぐっ…!!」
身体が痛い。あの瓦礫の雨は完全には躱しきれず、俺は数回浴びてしまっていた。
俺は痛みで思わず膝をつき、その場にうずくまってしまった。
「白炎はもう使えないみたいだね。そして、もう動けない…これで詰みだね」
俺の頭上から声がして、俺は顔を上げる。そこにはいつの間にかハマドウが立っていた。
「…ふふふ」
「? 何がおかしい?」
俺が笑い出すと、不思議に思ったハマドウが首を傾げた。
「なぁハマドウ…こうは思わないか?」
俺がそう言うと、辺りに散らばっていたカードの魔力を、一斉に解放した。
「!!」
俺が先程から術の発動の際に取り出していたカードは、使うふりをしてその魔力を解放せずにばら撒いていた。
術は自身の魔力を使用して発動していた。魔臓鎧によって魔力には前よりも余裕があったから出来た事だ。
そして、ばら撒いたカードには、ある術式が刻まれていた。
「人間一番動揺する時…それは、当たり前が当たり前じゃ無くなる時だってなぁ!!」
空中に漂っていた一匹の白炎の蛾が、ハマドウ向かっていく。先程、ハマドウに当て損ねてすり抜けていった内の一匹だ。
「まだ居たのか…でも無駄だって」
どうせすり抜けられると思ってたのか、ハマドウは余裕だった。しかし、
「なっなにぃぃぃ!!!??」
蛾はハマドウの身体に着弾し、ハマドウは瞬く間に白炎に包まれた。
「馬鹿な…!!? 何故、跳べない…!!?」
「ハマドウ…アンタに会って、俺の中の当たり前は何度も変わった。驚いたよ、転移魔術にそんな使い道があったなんてな。それが無けりゃ、転移魔術についてここまで深掘りする事は無かったよ」
俺はクウゴからハマドウの話を聞いてから、ハマドウとの戦いに備えてある研究をしていた。それは、転移魔術の弱点についてだ。
ハマドウの最も得意とする転移魔術について、何か致命的な弱点があれば、そこがハマドウの大きな隙となる。俺はそう確信して、その弱点を探した。
そして、その隙となり得る物を見つけた。それが、魔方陣についてだった。
転移魔術は、出発点と到着点の同期させた魔方陣が、その魔方陣が発する情報をそれぞれ感知出来なければ、転移を行う事は出来ないのである。そしてこれは、ハマドウのマーキングを使った転移も同様である。
「この周りに撒いたカードには、隠す結界の術式が刻んであって、それをさっき発動した。その効果は…『魔方陣の発する情報を隠す』効果だ!!」
この結界内では、魔方陣の発する情報は遮断され、同期させた魔方陣は互いにその情報を感知出来なくなる。当然、魔方陣と同じ情報が詰め込まれたマーキングもだ。
そして、その結界の術式を刻んだカードは、先程から瓦礫の雨から逃げる時に、俺達を囲む様にばら撒いていた。
「つまりはハマドウ…アンタはもう『跳べない』!!」
「く、このおおおおお!!!」
ハマドウが白炎に焼かれながらも、術を発動しようとする。しかし、その術は纏う白炎に燃やされ、術を為せない。
「これでリーサルだ、ハマドウ」
俺はそう言うと、懐からカードを取り出しばら撒く。
そして、それらの魔力を解放し、再び威装を纏った。
「白導・獄炎…そのドス黒い腹の中、綺麗サッパリ焼いて貰いな!!」
俺は術を発動し、白炎がハマドウを襲った。
「うあああああああ!!!!!」
四方八方から猛り狂う白炎が、ハマドウの身体を焼いていく。そして、その猛火の中ハマドウは地獄の責め苦に悶える様にのたうち回る。
正に地獄の様な光景、その責め苦は、ハマドウの身体が燃え尽きるまで続いたのだった。




