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白導対大魔術士(3)

筈だった。


「なっ…!!?」


白炎の蛾は、ハマドウの身体をすり抜けていった。


(何でだ!? タイミングは完璧だった筈なのに…!!)


「その顔…やっぱりクウゴに話を訊いてたみたいだね。僕のすり抜けの絡繰り」


「くっ…!!」


「確かに僕のすり抜けは5秒間が限界だよ。今のもタイミングは完璧だった。でも当たらなかった…何故か?」


そう言って、ハマドウは姿が消えた。どこかに転移した様だ。


「一つ、ヒントをあげよう」


声の方に振り向くと、そこにはハマドウがいた。そして、その頭上には無数の巨大な瓦礫が浮いていた。


「5秒間まですり抜けられるからと言って、必ず5秒間すり抜けるとは限らない…もうわかったかな?」


「!!」


ハマドウのヒントで俺は気付いた。何故当たらなかったのか。


あの時魔弾をすり抜けた時、ハマドウは5秒より少ない秒数で転移を完了していた。そして、5秒経過のあのタイミングで転移の再発動までのクールタイムが経過し、もう一度転移を行った。


だからあの時、完璧なタイミングだった筈の蛾はハマドウの身体をすり抜けたのだ。


(不味いな…それだと大分話しが変わってくる)


秒刻みで転移完了のタイミングを都度調整出来るとなると、その攻撃を当てるまでのハードルはかなり上がる。


5秒間で固定であればそのタイミングで当てれば良いだけの話なのだが、都度調整が出来るのであれば、それが出来なくなる。さっきの様にタイミングを外されるからだ。


転移魔術のスペシャリスト、大魔術士ハマドウ。やはり彼は、俺の想像を超える難敵だった。


「君のその白い炎、魔術による攻撃は焼き尽くしてしまうみたいだね。確かに厄介だけど、策は無い訳じゃ無い…こんな風にね」


すると、ハマドウの頭上で浮いていた瓦礫が、俺の方に勢い良く飛んできた。


(あれは…不味い!!)


俺はカードを取り出し、空道(くうどう)を発動して空中に足場を作り、瓦礫を回避した。


「お、良く躱したね。そう、この瓦礫自体には魔力が流れてない。風の魔術で浮かせて押し出してるだけだからね。だから、君の白炎でも燃やせない」


「…当たり」


白炎の弱点をズバリ言い当てられ、俺は苦笑した。


そう、白炎は魔術による攻撃には強力なカウンターとなる反面、魔力を持たない物に対してはその特性上、普通の炎と大差ない威力しか発揮しないのだ。


つまり、魔力の無い攻撃であれば、俺は白炎でガードも出来ない。さっきも白炎で受けてれば、防ぎきれずに俺は死んでただろう。


「さて…精々逃げ回って見せなよ?」


ハマドウがそう言うと、再び瓦礫が凄いスピードで飛んできた。


「くっ!!」


俺は横に逃げ、瓦礫を躱す。そして、間髪入れずに次の瓦礫が飛んできた。


(躱せない…くそっ!!)


俺は再びカードを取り出し、風の魔術を使用した。これで迫る瓦礫の勢いを抑えた。


しかし、避けきれない事には変わりなく、そのまま瓦礫をぶつけられ、大きく吹っ飛ばされた。


「がはっ…!!」


俺は床に叩きつけられた。魔力で身体を強化するのは間に合ったが、それでも全身が砕ける様に痛かった。


「終わりだ」


そして、ハマドウの頭上の瓦礫が、一斉に俺に向かってきて、雨の様に降り注いだ。

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