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これからの事(2)

「取り敢えずクウゴ、お前何かこれからどうするのとかって考えてるのか?」


「…復活したグランディンについて、情報を集めたいとは思ってたけど、それ以上に今各地の魔族に侵攻されてる国を放ってはおけない…」


「流石は勇者様、だな。そう来ると思ってたぜ」


セレニア滅亡を皮切りに、世界各国で魔族の侵攻が始まり、現在この世界の主要国家である五大国に向けての攻撃は特に激化していた。


五大国とは、セレニア、ルクスブルグ、エルーシャ、アイオーン、グラナの事である。


既に陥落したセレニアを除いた残り四カ国は、日々魔族との争いを続けていた。


俺は各地に行って、グランディンの情報を集めつつ、魔族の侵攻を止めたいと思っている。


「んじゃ、1番近いのはエルーシャだな。どうする?明日にでも乗り込むか?」


「ああ、そうする…って、お前も来る気かよ?」


「当たり前だろ?勇者紋(ブレイヴサイン)のデータを集めたいんだ。安心しろ、邪魔はしねーよ」


オーキの魔術士としての力量がどれ程のものかは知らないが、この拠点からセレニアへの一人旅が成立するくらいだ、恐らくそれなりに腕が立つのだろう。なので、その点は心配してない。


「ソニアはどうすんだ?ここで一人にする気か?」


「それは、コイツが決める事だろ、なあ?」


オーキはそう言って、ソニアに視線を向ける。


「どうする?俺とクウゴはエルーシャに向かうけど、お前はここで留守番してくか?その間この家は自由に使ってていいぞ。それとも…」


「…私も、一緒に行きます」


ソニアは意を決したという表情で言った。それを聞いて、オーキが笑みを浮かべる。


「いや駄目だろ、戦地に行くんだぞ?」


「わかってます。だから、私のリインならかなり速く戦場に着きます。速いほうが良い筈です」


「いや、確かにそうだけど…」


俺が言いかけると、それをオーキが遮る。


「まぁいいじゃねーか。このご時世、どこで魔族に襲われるかわかったもんじゃねーし、むしろ勇者と一緒の方が安全だろ?」


「お前…リインの飛行能力を当てにしてたな…!俺は反対だ!危険過ぎる!」


「私なら大丈夫ですクウゴさん、私も連れてって下さい」


ソニアは胸に手を当て、そう言った。


こうして、今後の方針も決まり、明朝のエルーシャ出発に備え、各々休息をとるのだった。





その夜、オーキはやることがあるとの事で、一人魔術工房に残り、俺とソニアだけ平屋に戻った。


二つの内、使用可能な客室はソニアに使わせ、俺はリビングの椅子に腰掛けて休んでいた。


(…明日、身体痛くなりそうだな)


横にならずに眠るというのが、ここまでしんどいとは思っていなかった。時代劇に出て来た武士とかが、胡座をかきながら寝ているのを見たことがあるが、よく休めるものだと感心した。


横になれる分、リビングの床に横になった方がマシかも知れない。俺はそう思い、床に寝そべろうとしたその時、ソニアの寝ている客室のドアが開いた。


「あの、クウゴさん…」


ドアの先に立っていた、ソニアが俺を呼んだ。





「や、やっぱり、二人だと狭いですね…」


「…そうだな」


俺とソニアは、客室のベッドで互いに背を向けて寝ていた。


何でこうなっているかと言うと、それはソニアが言い出したからだ。


ソニアの言い分はこうだ。「明日戦うクウゴさんが、万全の状態で迎えれる様に、クウゴさんがベッドを使うべきです」との事。


俺は当然断ったのだが、それをソニアは聞き入れず、その結果、妥協案としてこうなった訳である。


「あの…やっぱり、俺出るよ。男女が同じベッドで寝るのは…」


「それなら私が床で寝ます」


「…はぁ、わかったよ」


とうとう俺は折れて、眠りにつこうと目を瞑った。


(…眠れない)


俺も年頃の男児、背後に年の近い女の子が寝てると思うと、どうにも落ち着かなかった。


「ソニア、起きてるか…?」


「はい…」


眠れなかった俺は何となく言うと、ソニアはすぐに返事をした。


「俺達、君に無理させてないか?君は、成り行きで俺達と一緒にいるだけだし…明日、無理に俺達と来なくても良いんだぞ?明日、俺からオーキに言っておくから…」


ぽつりぽつり、と俺は口に出していく。ソニアはそれに対して、口を開いた。


「優しいですね、クウゴさんは…。でも、大丈夫です。だって…」


そう言って、ソニアは俺の方に向き直り、未だ背を向けたままの、俺の手を握った。


「家族も、故郷も失って…もう一人は嫌なんです…だから…」


ソニアの手は震えていた。俺は何も言わず、その手を握り返す。


「お願いです…そのまま手を、握ってて下さい…」


「…わかった」


俺は頷き、再び目を瞑る。夜明けまで、ソニアの手を握り続けた。

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