魔誕の日(5)
俺とハマドウが街の外に出ると、既に街から出ていた兵士達がいた。
そして、先程報告に来た兵士が俺の下に駆け寄ってきた。
「す、済みませんグランディン様…どうしても一暴れしたいって奴等がまだ街に…」
「構わん、好きにさせておけ」
気まずそうに兵士が言うと、俺は視線も向けずに淡々と返した。
「お前等はさっさと撤退しろ」
「わ、わかりました」
兵士はそう言って俺の場を去り、兵士達に通達して撤退していった。
そして、俺は撤退する兵士達を見送ると、振り返ってルクスブルグの方に向いた。
ルクスブルグの街並みは、あちこちで炎が立ち上っていた。そして、人間共の悲鳴がここからでも聞こえてきており、未だ鳴り止まずにいた。
「…ずっとこうしてやりたかった…こんな国」
俺はそう言うと、魔剣を天に向け掲げた。
「…滅界七星」
俺は呟くと、魔剣は禍々しく、その光を放った。
そして、その日二つ目の『星』が落ちてきた。
「な…何だあれは…!!?」
「あれはまさか、グランディン様が…!!?」
暴れていた街中の魔族共が、その事に動揺を始めた。
迫り来る黒い星は、まずルクスブルグ城を吹き飛ばし、そして、その城下の街も何もかも消し飛ばした。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「ぐ、グランディン様ぁぁぁぁ!!!!」
蹂躙される人間共も、暴れる魔族共も、諸共、全て。
暫くそこに滞留していた、黒いエネルギーの奔流が消えると、そこには大地に穿たれた巨大な穴だけが残った。
こうしてこの日、ルクスブルグは跡形も残さず消えた。
「…」
俺はその消し飛ばされた大地を眺めていると、ふと、俺は父と母の事を思い出した。
俺に冷ややかだった国の人間共と違い、俺の事を愛しその存在を認めてくれていた数少ない人間。
剣術が上達した事を褒めてくれた父、俺が泣いていた時に優しく慰めてくれた母、今になって、そんな事をふと思い出した。
(…もう、どうでもいい)
俺はそう思い、撤退していった兵士達と合流すべく、その場を後にした。
ルクスブルグ王国が魔王グランディンに落とされたという話は、瞬く間に広まった。
魔族側はその勝利を喜び、人間側はその事実に愕然とした。
今、両種族の怒りは既に最高潮にあり、その時は粛々と近付いていた。
100年前の討魔戦争を超える、人間と魔族の存亡を賭けた最終戦争が。
「グランディン」
突然、ハマドウが声を掛けてきた。そして、俺にこう問うてきた。
「今の気分は、どうだい?」
「…ああ、最高だ」
俺はそう返すと、ハマドウは邪悪に微笑んだ。
俺の望み通りの展開になってきた。俺は、この時を待っていたのだ。
俺の望むのは闘争、この糞みたいな世界をぶっ壊す程の、苛烈な闘争を、求めていた。
さあ、始めよう。この世界を、壊す為に。
最終戦争の、時は近い。




