魔誕の日(4)
「や…やはり私は間違って無かった!!」
突然、ルクスブルグ王は急に何かを喚き始めた。
「魔族を率いて魔王にまで成り果てるとは…やはり貴様は国を滅ぼす『呪いの王子』だった…!!」
「…何の話だ?」
「…さぁ? 死に際になって頭おかしくなったんじゃないの?」
「…まぁ良い、とっとと終わらせてやる」
俺はルクスブルグ王に詰め寄り、手に持つ魔剣を振り上げる。すると、それを見たルクスブルグ王は慌てて、何かを喚いた。
「ま…待て!! 私を殺せば、召喚の儀の資料は回収出来なくなるぞ!! 私しか場所は知らない、あれが無くなると貴様等も困るんじゃないか!!?」
「ああ、これの事?」
ハマドウはそう言って、一冊の書物を見せびらかした。
「な…!!?」
「別に何時でも僕の手に戻せるからね、これ」
ハマドウが本の背表紙をルクスブルグ王に見せる。そこには、ハマドウの物質転送のマーキングが施されており、それで本を呼び戻した様だ。
「んーでも、別にもう勇者は必要ないし、そんなにこれも必要ないんだよねー。というか、これ無しでも僕なら勇者召喚出来るし、だって…」
ハマドウが被っていた仮面を外し、ルクスブルグ王にその素顔を晒した。
「それ、書いたの僕だもん。そう言えば伝えて無かったもんね、僕の正体」
「な…なんだと…」
それを聞いたルクスブルグ王は、顔を白くしたまま固まった。
「…さて、これで貴方を生かす理由は一つも無くなった訳だ。バイバイ」
ハマドウは嗤いながら手を振ってみせる。そして、俺は今一度魔剣を振り上げ、ルクスブルグ王に向けて、
「ま、待ってくれ!! 私が悪かった!! だから…殺さ…!!」
その醜い命乞いを断ち切る様に、俺は魔剣を振り下ろした。
ルクスブルグ王は脳天から引き裂かれ、絶命した。
「グランディン様!! ルクスブルグ兵を全滅、ルクスブルグの制圧完了致しました!!」
一人の魔族の兵が俺の側に駆け付けると、俺に向けて報告した。
「…そうか、行くぞハマドウ」
「はいはい」
俺とハマドウは部屋を出ようとする。そして、物言わぬ死体となったルクスブルグ王を一瞥すると、その報告に来た兵士にこう告げた。
「…全軍に通達しろ、直ちにこの国から撤退しろと。この国での用はもう終わった」
「え…? しかし…」
「聞こえなかったか? 撤退しろと言ったんだ」
「!! わ、わかりました!!」
俺が凄むと、兵士はそそくさとその場を去った。
「…行くぞ」
こうして俺とハマドウは、城を後にした。
そして、城下町では、
「ぎゃぁぁぁぁ!!!!」
「嫌っ…!! やめて…やめてやめてぇぇぇぇ!!!!」
城下町では、あちこちで人間共の悲鳴が上がっていた。魔族共が暴れているからだ。
壊し、殺し、奪い、犯し、今までの人間共への憎しみを晴らすが如く、只ひたすらにその暴を振るっていた。
「あれ? 君がすぐに撤退しろって言ったのにね」
ハマドウはその光景を見て、あっけらかんと言った。
「…醜い」
俺はその光景を見て、思わずそう言葉を零した。
そして、俺達二人は、魔族共に蹂躙されるルクスブルグの街並みを横目に見ながら、街の外に向けて歩いた。




