↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
117/148

風凪ぐ時(5)

目が覚めると、俺の顔を心配そうに覗いているディンの顔が見えた。


「!! 小童!! クウゴが目を覚ましたぞ!!」


俺は上体を起こす。偽グランディンに斬られた傷は塞がっていた。オーキが治療した様だ。


「ディン…もう大丈夫なのか?」


「ああ、小童が呪いを解いた。その…済まぬ、世話掛けたな」


「そっか…やっぱ凄いなアイツ」


そうして俺は周囲を見回す。ソニアの姿がどこにも見当たら無かった。


「…ソニアは、どこに居るんだ? 俺を助ける為に、一緒に居たんだが…」


「…」


ディンは何故か黙り込んだ。その表情は、どこか暗かった。


「クウゴ、ソニアは…」 


「おお、気が付いたんだな? 良かった良かった」


声の方へ振り返ると、オーキがこちらに向けた歩いてきた。


「オーキ、ソニアは…?」


「…」


俺が言うと、オーキは一度目を逸らした。そして、もう一度正面を向いて、影の差した表情で俺にこう告げた。


「…お前は、見ない方が良い。俺達で『回収』しとくから」


「!!」


オーキの言葉から、全てを察した。認めたくない現実を。


俺は立ち上がり、オーキが今来た方向へ向かおうとする。それをオーキは羽交い締めにしてきた。


「馬鹿野郎が…!! おいディン!! お前も止めろ!!」


(ソニア…!! ソニア!!)


「落ち着かぬか馬鹿者!!」


俺を抑えるのにディンも加わる。しかし、俺は二人を振りほどき、走り出した。


「くそっ…待てクウゴ!!」


森の中を走って行くと、その先で、俺は見た。


偽グランディンが放った滅界七星(ルインズ・セブンス)で消し飛んだ大地と、半身を消し飛ばされて息絶えていたリイン。


そして、リインと同じくその半身を失っていたソニアが、その傍らに横たわっていた。


「あ…ああ…ああああ…!!!」


脳が、拒絶した。目の前の光景を、俺に突き付けられた現実を、ソニアの、死を。


「あああああああああ!!!!!」


喉が焼ける程に、俺は咆哮した。


「…だから言ったんだ」


「クウゴ…」


初めて経験した、大切な人の死。


その痛みは、俺の心を怪我や呪いよりも苛み、責め続けた。


その痛みに藻掻き苦しみ、俺は数刻の間、その場から動けなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。