風凪ぐ時(4)
「おい…あれ、何だよ…!?」
チャッピーに乗ってルクスブルグ近くまで飛んできた我々は、その光景に唖然としていた。
巨大な半球状をした黒いエネルギーの奔流が荒れ狂い、木々を薙ぎ倒し、大地を消し飛ばしていた。この大規模な破壊エネルギー、間違いなく滅界七星だ。あの偽者が放ったのだ。
「まさかクウゴ達…あんなもん喰らったのか…?」
「…いや、あの規模だとまだ星『一つ』だ。辛うじて逃げ延びてるかもしれん…探すぞ!!」
我は破壊エネルギーの周辺に向け、チャッピーを飛ばした。
「…ん」
気が付くと、私は森の中に倒れていた。
クウゴを助けに引き返し、それでクウゴを連れ出す事に成功したのだったが、その後、『星』が降ってきて…
「そうだ…クウゴさん!! あっ…!!」
自分の真後ろには、大地が無くなっていた。まるで、何かに巨大な物に削り取られた様に、その先は切り立った崖の様になっていた。
そして、その側には、半身が消し飛んでいたリインが横たわっていた。既に、息は無かった。
「…ごめんね、リイン…ありがとう…」
息絶えたリインの頭を撫でた。私の目に、涙が溢れてきた。
「おい小童!! クウゴが居たぞ!!」
突然、近くでディンの声が聞こえた。私は涙を拭い、すぐにその声の方へ駆け出した。
すると、そこには横たわっているクウゴと、その傍らで見守っていたディンが居た。
「クウゴ!! ひでぇ怪我だ…ディン、魔力寄こせ!! 今から治療する!!」
オーキも居る。ディンの様子から察するに、どうやらディンの呪いは彼が解いた様だ。
私はクウゴの側に寄ると、クウゴは僅かだが息をしていたのが見て取れた。クウゴは、生きていた。
「クウゴさん…良かった」
私はそう言ってクウゴの手を取ろうとする。しかし、
「え…」
私の手は、クウゴの手をすり抜けてしまった。
「ああ、そっか、私…」
それを見て、全てを察した私は立ち上がり、踵を返した。
そして、最期にクウゴに目を向けると、私は、
「…クウゴさん、皆さん、さよなら」
それだけ伝えて、リインの下に戻った。
先程の場所に戻ると、リインが座って待っていた。
「お待たせ、リイン」
私はそう言うと、リインの頭を撫でた。
「…それじゃあ、行こっか」
私はリインの背に乗り、そして、リインは空に向けて飛翔した。
上空からクウゴ達を見下ろす。クウゴを助けようとして治療するオーキ、それを見守るディン、そして、懸命に死に抗っているクウゴの姿が見えた。
(皆さん…どうか死なないで)
そして再び前へ向き、私達は、空を目指した。




