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暗礁(5)

「ふふふ、随分お熱い様だな、お二人は」


「うっせぇ」


「そう照れるな、良いではないか…貴様は、絶対死んではならんぞ? ソニアの為にも」


「…わかってるよ」


そして俺達は、偽グランディンがいるという拠点に乗り込んだ。


野営地のテントの中を確認する。しかし、そこには誰も居なかった。


「誰も居ない…?」


「我らに感付いて逃げたか…? いや、それとも…」


ディンがそう言うと、すぐに異変は起きた。


突然、テントの中で地面が輝いた。それは、魔方陣が敷かれていた。


「これは…転移の魔方陣!!?」


「誰か…来る!!?」


輝く魔方陣の中から誰かが現れる。それは、四人の人影だった。


隷属の首輪に繋がれた、俺とそう変わらない位の年齢の鎧と剣で武装されていた少年少女達。恐らく彼等は、


「まさか…ルクスブルグの、勇者…!?」


俺は腰のイリスを抜くと、彼等に向かって斬り掛かった。


そして、その内の一人を瞬く間に袈裟に斬り捨てた。


「ひ、ひぃぃぃぃ!!!?」


(!! 何だ? 思考がある?)


前にルクスブルグで戦った強化勇者には、思考がまるで感じられず、本能のまま襲い掛かって来る獣同然であった。


しかし、目の前の彼等には明確に恐怖を感じてる様に見えた。


「や、やるぞ皆!! やらないと、俺らも…!!」


「う、うああああ!!!」


「ちっ、やりづらい…!!」


「クウゴ下がれ!! 秘技・幻召魔身!!」


ディンが幻召魔身で四魔召の幻影を喚び出す。呼び出したのは、共殺姫のアルケーだ。


「アルケー、やれ!!」


アルケーの糸が勇者達を絡め取り、その自由を奪った。


「助かったディン。にしても、何でルクスブルグの勇者達がここに…?」


「偽者が居るって情報はデマか…おい貴様等、話を訊きたい。何で…」


「あ…ああ…!!」


うわ言の様に何か呻いている勇者達。すると、その勇者達に異変が起きた。鎧の隙間から、一瞬何かが見えた。


(あれは…?)


それは、『蛇』だ。その身体は何か、黒い蛇の様な物が体表で蠢いていた。


「!! ディン!! 下がれ!!」


「何?」


「い…嫌だ!! 助け…!!」


すると、突然勇者達の身体が爆ぜた。そして、その中から黒い瘴気と共に、多くの黒い大蛇の様なものが放たれた。


(これは…イリスに掛けられた呪いと同じ…!?)


俺は咄嗟に魔力で身体を強化してガードした。そして、それらは俺の魔力のガードを突き破り、俺に襲い掛かってきた。あの時以上に強力な呪いの様だった。


しかし、俺が持っていたイリスの能力が発動し、それらを打ち消してくれた。


「しまった!! ディン!!」


俺はイリスの力によって守られた。しかし、離れた場所にいたディンは、その呪いをまともに浴びてしまった。


「ぐ…!!? うぅ…!!」


呻きながら膝をつくディン。ディンは呪われてしまった。


「ディン…!!」


「あれ? クウゴは無事みたいだね」


声が聞こえ、その方を振り向く。そこには、ハマドウが立っていた。


「その剣凄いね。この呪いまで防ぐのか…あの時以上の呪いを込めてたつもりなんだけどね」


「あの時って…まさか、イリスに呪いを掛けたのって…」


「さぁてね、ふふふ…」


ハマドウが冷たく嗤う。俺はイリスを構えハマドウに向かって言い放った。


「ディンの呪いを解け!! 然もなくば…!!」


「今掛けた呪いを解くわけ無いじゃないか。それに、君に斬れるのかい? あの時だってあんだけ躊躇ってたのに」


「くっ…!!」


俺は地面を蹴り、ハマドウに斬り掛かる。しかし、俺の一刀は空を切り、ハマドウの姿は既に消えていた。


「…くそっ!!」


横たわるディン以外誰も居ない空間で、俺は忌々し気に吐き捨てた。

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