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暗礁(4)

一週間後、偽グランディンの拠点攻撃作戦に参加を決めた俺達は、アイオーン城にてリタ王女と話していた。


「…そうですか。作戦の参加、誠に感謝します」


「…あの、リタ王女」


ソニアがリタ王女に、ばつが悪そうに話し掛けた。


「この間は、申し訳ございませんでした。失礼な事言ってしまって…」


そう言って、ソニアは深々と頭を下げた。


「…いいえ、私の方こそごめんなさい。私も彼の優しさに甘えていました。だから、顔を上げて下さい」


ソニアは顔を上げると、リタ王女はソニアの手を握った。


「ソニアさん…誰かの為に怒れる貴女を、私はとても尊敬します。だからこれからも、どうか隣で彼を支えてあげて下さい…」


「リタ王女…わかりました」


リタ王女の言葉に、ソニアは強く頷いた。


「…そういう訳でクウゴ、ソニアさんを泣かせる事は私が許しません。なので、貴方は絶対に死んではなりません…良いですね?」


凄い剣幕でリタ王女が詰め寄ってきた。正直どの口がとか思ったが、その迫力に押されてそれは言えなかった。


「…はい、わかりました」


こうして、俺達は現在進軍中の三国同盟軍と合流すべく、リインに乗って向かったのだった。





三国の合流地点に到着すると、既に三国の軍が集まっていた。


「おお!! クウゴ殿!!」


その中に、エルーシャのギデオン騎士団長がいた。俺の姿を見るや否や、俺達の側に駆け付けて来た。


「ギデオンさん、貴方も来てたんですね」


「ええ!! これでも一応、エルーシャの騎士団長の身ですのでね。此度の作戦、是非サポートさせて頂きますぞ!!」


「それは頼もしい…それで、拠点は…?」


「あちらですな」


そう言って、ギデオンが指を差した。その方向には、確かに拠点らしき野営地が見えていた。


「…ギデオンさん、まず俺とディンがあの野営地に侵入します。それまでは、ここで全軍待機をお願いします」


「なっ!? お二人で攻め込むつもりですか!? しかしそれでは…!!」


「グランディンは、広範囲を同時に薙ぎ払える奥の手を持っています。だから、このまま一気に攻め込むとそれを使われる可能性があります。だから、まずは俺とディンが攻め込みます」


滅界七星(ルインズ・セブンス)、偽グランディンが持つ魔剣に秘められた奥の手。もしこのまま全軍突撃を掛ければ、偽グランディンがそれをいきなり使う可能性が高い。もしそうなれば、この部隊は何人居ようと瞬く間に全滅だろう。


それだけは絶対に避けなければならない。だから、まずは俺とディンで様子を見に行くのがベストだ。


「じゃあ行って来ます。ギデオンさんは通達お願いします」


「むぅ…わかりました。クウゴ殿、くれぐれも無茶はしない様に…」


ギデオンはそう言って、全軍に通達する為にその場を離れる。そして、ソニアが入れ違いで俺の側に駆け寄ってきた。


「クウゴさん」


「ソニア…?」


「ちょっと、話したい事があって、良いですか…?」


ソニアがそう言うと、俺はソニアの話を聞くために顔を近付けた。


すると、ソニアは突然俺の頭を掴み、そのままキスをしてきた。唇と唇で。


「ちょっ!!? 何を…!!?」 


余りに突然な事に、俺は慌てて顔を離した。


「えへへ、願掛けです。さっきリタ王女に教わりました」


ソニアはそう言って、蠱惑的な笑みを浮かべた。


(何を教えてんだあの人は…)


俺はそう思って、頭を抱えた。


「クウゴさん…どうか、死なないで…」


ソニアが言うと、俺は笑顔を浮かべ、こう返した。


「ああ、絶対死なないよ」


そうして、俺とディンはグランディンの拠点に乗り込んだのだった。

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