呪いを解く白炎(4)
さて、もう一つ繰り返し行ってきた、リンゴ焼きの方はと言うと。
「ふっ…どうよこれ!!」
俺はそう言って、自信満々に掌のリンゴをラピスに見せつけた。
その実は焦げ一つ無く、皮だけが無くなっていた。炎と熱を上手い事制御し、皮だけを焼き尽くす事に成功したのだ。
「こんな事も出来るようになった、ほれ」
俺は両掌にリンゴを載せ、同時に炎の魔術を発動した。そして、リンゴの表面に小さな炎が現れ、皮の上を動いていく。
すると、炎通った場所の皮だけが焼けていき、それを使って文字や絵を描いてみせた。
「おお!! お見事ですぞぼっちゃま!!」
それを見ていた爺やが拍手をした。
「あまり調子に乗らないの」
「へん、自分は碌に出来ない癖に、負っけ惜っしみ~」
「そうね…私も練習しなきゃいけないわね、こんな風に」
そう言ってラピスは俺の頭を右手で掴み、そのまま吊し上げてみせた。
「あだだだ止めろぉ!! 助けて爺や!! 頭燃やされるぅ!!」
こうして、聖なる炎を制御する為の第一段階はクリアしたのだった。
「さて…何はともあれ、よく頑張りました。ですが、これで終わりではありません」
ラピスはそう言うと、聖なる炎の魔術書を取り出した。
「今回身に付けた制御技術を使って、早速この聖なる炎を呼び出してみなさい。ただし、くれぐれも慎重に」
「いきなりか…」
「どうしました? 怖じ気づきましたか?」
「はっ!! 誰に言ってんだよ?」
俺はそう言って、ラピスから魔術書を受け取った。
魔術書を開き、その術式を確認する。そして、その術発動までのプロセスをイメージし、それを繰り返す。何度も、何度も。
「…よし」
俺は魔術書を閉じ、右手を掌を上にして前に突き出した。
「じゃあ…行くぞ!!」
周りには、ラピスとウィンリッヒと爺やが立ち会っており、各々は息を呑んで俺を見守っていた。
魔力を練り、術式通りに魔力を組み上げる。そして、聖なる炎を発動した。
「これが聖なる炎…!!」
初めて聖なる炎を見たラピスが、そう言葉を洩らした。
あの時と同じ様に、俺の掌の上には白い炎が煌々と輝いていた。そして、
「!! オーキ!!」
白い炎は突然大きくなり、俺の肘まで燃え広がっていく。あの時と同じだ。俺の流れる魔力を伝って、燃え広がっていく。
「ぐ…うぅ…!!」
だが、そこでどうにか留まらせた。あの時とは違い、ある程度コントロール出来ており、炎が全身には回らない。
やがて、広がっていた炎はどんどん小さくなっていき、そして、再び掌に収まるサイズまで小さくなっていった。
「や…やった!!」
炎は収縮はそこで止まり、俺の手の中で揺らめいている。そして、魔力の供給を切ると、炎は消えた。
その後、何度も炎を出して、消してを繰り返してみせた。
「…よし!!」
「やったな…オーキ!!」
「お見事です!!ぼっちゃま!!」
発動は、成功した。聖なる炎を完璧にコントロールし、その上俺自身に燃え移らない。
俺は魔導書をテーブルに置くと、リンゴを一つ手に取り、それを天井近くまで放り投げた。
そして、俺は右手を挙げ、空中のリンゴに人差し指を向けた。
「まさか…オーキ…!!」
何かに気付いたラピスは、俺に何か言おうとした。
俺は右手の人差し指に魔力を込める。同時に、聖なる炎も。
「白導・魔弾!!」
指先から魔弾が放たれた。それはリンゴに貫通しない程度の威力で穿たれ、リンゴはそのまま床に落ちた。
そして、リンゴは白い炎を上げ燃えていき、それは皮だけ焼く尽くすと消えてしまった。
「魔弾に炎を込め、それを威力を調整して撃ち込み、そしてその炎をコントロールしてリンゴの皮だけを燃やすなんて…」
俺が今した事を察したラピスは、その顔に驚きが隠せないでいた。
「聖なる炎…手懐けたぜ」
俺はそう言って、ラピス達に向けてサムズアップしてみせた。




