お金を稼ごう(4)
採集場所から近い場所に魔物の気配を感じた俺達は、向かってみると重傷を負った冒険者が倒れており、すぐさま俺が治療した。
そして、近くにその重傷を負わせたらしき魔物が居たので、ディンが一蹴しトドメを俺が刺した。
負傷した冒険者を、隠れていた仲間らしき人に任せ、俺達は漸く薬草採集を始めた。
「ソニアー、何本見つけたー?」
「今、14本でーす」
「凄いなぁ、俺なんてまだ6本だよ」
こうして俺とソニアは、概ね順調に採集出来ていた。が、ディンはと言うと、
「クウゴー、飽きてきたぞー」
草ばかり見ているのに飽きて、すっかり気の抜けた様子で話し掛けてきた。魔王様は単純労働がお嫌いな様だ。
「我慢しろ。ノルマの30本見つけたのか?」
「まだー、でも飽きたー」
「はぁ…俺が10本肩代わりしてやるから、もうちょっと頑張れ」
「むぅ…」
ディンはむくれながら、また薬草を探し始めた。
「ふふ」
その様子を眺めていたソニアが、小さく笑っていた。
「ソニア、どうした?」
「何か、こういうの新鮮だなって思って。ほら、私達ってここ最近まで、潜入とか戦場とか、気の抜けない状況ばっかりだったから…」
「あー確かに、こういう穏やかな時間って、あんまり無かったな」
思えば俺も、ずっと戦う事ばかり考えていたので、こうして戦いを忘れて、穏やかに過ごす事も殆ど無かった。
でも、悪く無かった。のんびり仕事をこなして日銭を稼ぐ。正に自由な冒険者って感じがして。
「偶にはこういうのも悪くないな…修行から戻ったら、オーキも一緒に誘ってみようかな?」
「良いですね! またみんなで依頼受けに行きましょう!」
「あのボンボンに労働の尊さが理解出来るのか?」
「オーキも魔王様には言われたくないんじゃ無いか?」
そんな感じて他愛ない会話をしながら、薬草を探し続けた。
「む?」
すると、ディンは何かに気付いたのか、顔を上げてキョロキョロ辺りを見回した。
「どうした?」
「何か妙な音が聞こえた…」
「音?」
「あっちの方からだ」
ディンがどこかを指差すと、俺はその方向に視線を向けた。その方には、街道がある方向だ。
すると、今度は俺にも聞こえる音が聞こえた。馬の嘶きの様な音に、人間の悲鳴みたいな音、明らかに尋常ではない様子だった。
「!! 行ってみよう!!」
俺達は、その音が聞こえた街道の方へ向かった。
するとそこには、
「ヒャッハー!! 金目の物全部置いてきな!!」
盗賊が、荷馬車を襲っていた。荷を引いていた馬は矢で射殺されており、その動けない荷馬車を数名の盗賊達が取り囲んでいた。
そして、その馬車を守る様に冒険者らしき女が二名武器を構えていた。
(確か、集会所の依頼に荷馬車の護衛があったな。ひょっとしてアレがそうか? …あ!!)
冒険者が一人盗賊に斬られた。そして、トドメを刺さんとして盗賊がその剣を振り上げている。このままでは不味い。
俺は腰のイリスを抜き、地面を蹴る。そして、その盗賊を後ろから斬り伏せた。
「な、何だテメ…がぁっ!!?」
そして、数秒足らずで盗賊達は全員俺に斬られた。
「急所は外した。とっとと失せろ」
「く…くそっ!!」
盗賊達は、足早に退散していった。
「大丈夫ですか?」
俺は斬られた女冒険者に回復魔術を施した。幸い傷は浅く、すぐに治療は完了した。
「あ…ありがとうございます!!」
「軽症で良かった。けど…」
俺は荷馬車の馬の方を見た。馬は頭部を射抜かれて即死しており、これでは御者は無事でも馬車は引けないだろう。
それに気付いた女冒険者達は、顔を青くしていた。
「そんな!? どうしよう…」
「このままじゃ、依頼をこなせない…」
女冒険者二人はオロオロしていた。見かねた俺は、二人に話し掛けた。
「貴女達、集会所の護衛依頼を受けられたんですよね? 確か依頼では隣の村まででしたね?」
「はい…そうです」
「よし…ソニア、良いか?」
「はい! お願い、リイン」
ソニアの肩に乗っていたリインが飛び立ち、その体躯は大きくなっていき、荷馬車を引くのに丁度良い大きさになった。
「リインが代わりに馬車を引きます。さあ、行きましょう」
こうして、俺達は女冒険者二人と御者と共に、隣の村まで向かった。




