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お金を稼ごう(3)

ディンの案は却下となり、俺達は今この街の集会所に来ていた。


これは、ソニアの案であった。


「お金を稼ぐなら、集会所で『依頼』を受けてみませんか?」


街の集会所では、住民から寄せられたあらゆる依頼が掲示されている。それを受諾して、達成すると報酬が貰えるのだ。


依頼は様々な物があり、ちょっとしたお使いから薬草採集、魔物の討伐等、日々多くの種類の依頼が寄せられているという。


ファンタジー世界題材の漫画やアニメで言うところの所謂ギルドのクエストであり、前の冒険の時には体験しなかった事であった為、内心ちょっと楽しみであった。


「あ!! あれが依頼の掲示板みたいですよ? 行ってみましょう!!」


ソニアが指差した方向に、数枚の書類の貼られた掲示板があった。俺達はその掲示板の下へと向かった。


「成る程な…冒険者達はこうして仕事を受け、金を稼ぐという訳か」


先程チャッピーの死を見て散々泣いていたディンは、その腫れぼったい目で掲示板を眺めながら言った。


今貼り出されているのは、薬草採集、魔物の討伐、荷馬車の護衛、この三つだった。


どうやらこの書類を、集会所の受付に持って行くと、その依頼を受けれるらしい。


「よし、じゃあこれだ」


ディンは迷わず、魔物の討伐の依頼書を取ろうと手を伸ばした。


しかし、その手を俺が止めた。


「待て」


「クウゴ、何故止める?」


「俺達はまだ初心者…いきなり難易度の高い依頼を受けるのは、死亡フラグだ」


俺が言うと、ソニアもディンもキョトンとした顔で首を傾げていた。


「しぼうふら…なんですかそれ?」


「何を訳わからん事を言ってるのだ貴様は?」


「俺の世界の漫画って奴で、この手の自分の実力を顧みず、レベルに合わない事をするのは大抵手痛いしっぺ返しが来るのがお決まりなんだ。もしそうでなくても、依頼に失敗したら集会所の人達にも迷惑が掛かる。ここは簡単なものからこなしていくのがベストだ」


「いや、人類最強戦力が何を言っとるのだ貴様は…」


「でも、確かに…慎重に簡単な依頼からこなしていくっていうのは良いと思います。私達初心者という事には変わりないですし」


「そうだろう…それで、俺達がまず受けるべき依頼はこれだ」


俺が手に取ったのは、薬草採集の依頼だった。森の中に自生している回復ポーションの材料である薬草を一定量集めて欲しいという依頼であり、この中では一番難易度の低い依頼であった。


「これを受けてみて、依頼受注から達成までの流れの見ていこう。初心者程、こういうチュートリアルは疎かにすべきじゃないからな」


「ちゅー、とり…?」


「異世界の言葉はわからんな…」


こうして俺達は、薬草採集の依頼を受注したのだった。





集会所を出て、薬草が自生しているという森の中に来た。


「採集する薬草の特徴は確認したな? じゃあ、探すか」


俺達は森の中、目的の薬草を探し始めた。


「…ん?」


生えている薬草を取ろうとすると、俺はその手を止めた。


「クウゴさん? どうしました?」


「気付いたか? クウゴ」


「ああ」


ディンも気付いた様だ。ここからそう遠くない場所で、何かの気配を感じた。





「はぁっ…はぁつ…くそっ!!!」


あんな依頼受けるんじゃ無かった。俺は今、心からそう思っていた。


討伐依頼にも慣れてきて、自分達の力も大分付いてきたと思い、更に難易度の高い魔物の討伐依頼を受けてみたが、失敗だった。


「GURUUUU…」


血走った眼で周囲を見回しているあの怪物が今回の討伐対象であり、俺達のパーティは奴によって崩壊した。


剣が通らず、魔術も碌に効かないあの化け物の前に、俺達は為す術無く蹂躙され、一人は重傷を負わされ、二人はどこかへ逃げ出し、そして残り一人の俺はこうして追い詰められ、物陰に身を潜めていた。


己が力を見誤った者の末路。しかし、俺はその事実を到底受け入れられなかった。


(嫌だ…死にたくない…!!)


俺は恐怖に震えながら、胸中でそう叫んだ。その時、


「おい、クウゴ。ひょっとしてアレじゃないか?」


誰かの声が聞こえた。俺は身を潜めた藪の中から視線を向けた。


視線の先には、女二人と男一人のパーティらしき集団がいた。見た所全員十代程度であり、まだ子供と言える年齢だった。


「GAAAAAA!!!!」


魔物が咆哮し、そのパーティ向けて駆けていった。


(やばい!! 危ない!!)


魔物が剥き出したその牙を、目の前の少女に突き立て、


「ふん」


られなかった。少女の蹴りにより魔物は木々を薙ぎ倒しながら吹っ飛んでいき、その意識を刈り取られた。


(えええええええ!!?)


魔物はピクピクと痙攣し、辛うじて息がある様に見えた。その側に少年が寄っていき、その様子を確認していた。


「まだ息があるな。一応シメとくか」


少年は腰の剣を抜き、それを振り下ろした。俺の剣が全く通らなかったその硬い身体をいとも容易く両断し、魔物の首は落とされた。


「あ、そこの人。ちょっといいですか?」


突然、少年が視線を此方に向けて話し掛けてきたので、俺は驚いてビクリと身体を震わせた。


「あっちで怪我してる人がいて治したんですけど、多分仲間ですよね? 今あっちで寝てるので回収お願いします。じゃあ、俺は薬草採集の依頼があるのでこれで」


少年はそれだけ言い残し、少女二人を引き連れてその場を去って行った。

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