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ありきたりな凡人無能力だと思ってたが、すでに有能力者だった件  作者: re:零A


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3/5

無能の天音くん

声の主は愉快に距離を詰め、ドンっと強く肩を押した。

「うっ」衝撃で本の上に尻もちをついてしまった。地面に本が数冊落ち、帯がちぎれ破れる。


「これはこれは、無能の天音藤四郎クンじゃないですか〜」

 14の時に同じクラスだった、誉拓也がポケットに手を突っ込む。顔を覗き気味に中腰に屈み、大声で捲し立てた。後ろにいる女が、先ほど僕が見ていた本を指さしてゲラゲラと嘲笑った。

「ヤバ!まって!8歳までに異能力を発現させる方法だって!!」

「お前、いくつだよ、ギャハハハ!しぬ!」

 拓也が僕の顎を強引に引きながら掴む。

「自己啓発?えらいでちゅねー!」

「でもでも〜無能者はしんでくださーい!生きてる価値ないでーす!」

 拓也は、掌をひらひらとなびかせた後に親指で首を切る仕草をした。

 後手でぐっと拳を握る。誰も助けてくれない。この世は異能主義で、能力の強いものが正しいのだ。みんな見て見ぬふりをする。気の毒そうにちらりと見るだけで何も言えない。何もできない。僕が逆の立場なら同じことをする。

「ギャハハハ!!!おまっっ!!言いすぎやろ、しぬ!!!」

「あは、そうだよ〜拓也〜。これから凄い能力発現するかもしんないじゃん〜」

「そんなわけないだろ!15になっても発現しねーんだから大した能力じゃねーんだわ、目立たねぇ能力は無能だろ」

「ちょっまっ!同級にランガはまじ、しぬ!!」

「てか、トイレの便座上げる能力じゃね。それはみせらんねーわ」

「くっさ!!くっさ!地味すぎ、しぬ!」

「かわいそ!役に立たな〜よわよわ〜〜」

 取り巻き達が各々言いたい放題、言い嗤う。     

 もう慣れっこだ。今日は運が悪かった。そのまま黙って嵐が過ぎるのを待てばいい。無表情でなんてことない顔をして、歯で舌を噛んで飽きるのを待つ。後ろで隠す拳を握り込んで、爪が皮膚に食いこむまで耐えればいい。いつものことだ。

 そう思った矢先にこの学園の学徒を注意をする声が飛んできた。柔らかでいて、凛とした声だ。そこにあった不協和音が正しい調律したかのように感じた。

「君たち静かにしてくれないか?ここは書店だ、他の客もいる。」


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